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圃場整備は補助事業を当てにせず自分でする。結局はその方が得なのだということも勝部農場に学んだ。そして、自分はここまで手をかけているということを地主に見せれば、信用を得ていくことにもつながる。
現在の圃場一枚の広さは平均で8ha、最小70a、最大は変形の15.5ha。最低でも一枚10haの区画にしたい。一番遠い畑までは家から約20km離れている。十勝地域とはいえ本別では土地に起伏があり、標高差も68mから320mまである。しかし、遠くで不便にも思えるが標高差のおかげで作業期間を長くとれる。
畑の7割は排水不良で作土も25cm位で浅い。4~5m間隔で90cm、浅い場所でも70cmの深さに暗渠を入れる農地改良を進めている。
畑に凸凹があり水が浸透しないような場所には畑でもレベラーを使う。表面排水で改善できるからだ。そんな場所が畑の5%あれば排水不良のためのロスが反当たり6万円になる。だとすればレベラー1台分でそれは無くせる。作業には時間がかかるが導入効果はあるという。レーザーなしの目測だけで十分。良い圃場、作土を作っておくことが、収量を増やし手間を減らすのである。
そして機械化。機械化で規模拡大しても収量や品質が下がるのでは元も子もない。石山が目指す機械化は、1人でできるだけでなく、作業の質、収量、品質を安定させ、上げていくという前提での機械選びだ。
写真で紹介できるのは、ほんの一部にすぎない。ほとんどは海外から買ってきた中古機である。
ブランドはニューホランドが大部分。父の代からの付き合いとブランドや型式はなるべく同じものにしておくことが、部品調達や慣れないアルバイトのオペレータにも指導が容易で仕事に間違いが少なくて済むためだ。
トラクタは全部で11台。その内メインの4台はニューホランドのTM190(180~220PS)。4~5年の型落ちで、船代は30万円。このほか、諸経費が若干かかる。これ以上の馬力は要らないし、きちんとメンテナンスすれば10年や15年は楽に使える。ほとんど新車のように整備されている。
麦、大豆に使うコンバインは刈り幅18フィート(5.4m)の290PS(ニューホランド)が2台。豆類の専用ヘッダー15フィートも1台所有している。バレイショなら防除で収穫時期を調整できるが麦はそういう訳にはいかない。収穫請負しているのでいかなる条件でも待ったがきかないためだ。1台は国内ディーラーから新車を3000万円+αで買った新バージョン。個人輸入機のメンテナンスを頼めるのもそれゆえだ。
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石山直貴 イシヤマナオタカ
有限会社石山農場
代表取締役
1967年北海道中川郡本別町生まれ。1987年に酪農学園短大を卒業と同時にカナダへ研修に行く。その5カ月後に父親が病気で倒れ帰国、そのまま農場を継ぐ。基幹従業員1人当た500haを目指した規模の拡大を進め、現在の従業員は石山本人のみで175haまで拡大した。ほとんど全ての機械は海外雑誌の中古機情報を頼りに個人輸入している。年に数回も英国やドイツの農家、農機店あるいは農業機械メーカーを訪ね、情報と機械を集めてくる。現有機械でも1人で300haまでの経営が可能だと言う。作目は、小麦84ha、加工用バレイショ50ha、大豆34ha、ビート7ha。小麦の収穫・乾燥・調製も50haの加工用バレイショの収穫作業も全て自己完結し、それ以外に麦の収穫・乾燥の作業受託もしている。
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