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耕すということ

中耕除草の意味と効果=高畦栽培の前に考えること

農業は耕すことに始まる。耕す技術によって作物の生育が違ってくるなどといわれるが、それは、播種・移植前の作業のみの技術を指すものではない。作物の生育中にも耕す作業は継続する。
草を見ずして草を取れ


 農業は耕すことに始まる。耕す技術によって作物の生育が違ってくるなどといわれるが、それは、播種・移植前の作業のみの技術を指すものではない。作物の生育中にも耕す作業は継続する。

 なぜなら土壌は長期間放置されると、雨水などによって硬化し始め、作物の生育に好適な条件を保ち続けるとは限らないからである。作物を傷めないように小耕起してやる必要が生じてくる。

 また雑草も生えてくる。これを駆除するには、撹土して圃場への定着を阻止するのが一般的である。時には浅く、反転して土中に埋没し、死滅させることも行われる。これらも一種の小耕起である。「草を見ずして草を取れ」とは古老の言葉。これは、雑草が萌芽して地上に芽を出すときには、根はかなり土中に入っている。こうなると、しぶとくて容易に死滅しない。未だ根が伸びない催芽の段階で撹土してやれば、土壌の乾燥によって雑草は根から水分を吸収することができず、定着できないものである。雑草を見出す前に処置するのが最も効果的であるということを言っているのであるが、実によく言い得ている言葉だ。


雑草の萌芽前処


 盲除草と言われるのは、雑草の萌芽前の処置のことで、除草ハローはこのための作業機である。当初は芝を束ねただけのものを縦横に曳く程度であったが、大正の中期にスプリングウィーダがヨーロッパからの招聘技師によってもたらされ、これを参考にして桁に大釘を多数打ち込んだものが開発された。

 第二次世界大戦後、バネを利用することも可能になり、現在では写真(1)のようなスプリングウィーダ付きカルチベータが一般化している。作物が大きくなれば、スプリングが作物に接触した場合、損傷を与えることもあるかもしれないが、生育初期の段階ならばあまり気にすることもないので、株間の除草を優先して広く利用されている。

 我が国は、降水量が比較的多いので、雑草が繁茂しやすい条件にある。除草剤が開発されて、除草作業は大幅に省力化されたが、除草剤によってすべての雑草を絶やすことはできないものである。農業はある面では、雑草との闘いである。これまで、さまざまな我が国風の除草機が開発され、近年では世界の注目を集めるに至っている。

 写真(2)の精密カルチベータもその一つである。盲除草はもちろんのこと、各種のアタッチメントが準備されており、雑草を絶やして作物が好適な環境で生育できるように工夫されている。フレームが強度アップされ、畦間の中耕も効果的に行われるようになっていることは言うまでもない。従来のカルチベータと比較してかなり高価であるが、手取り除草作業の負担が大幅に少なくなり、婦女子の労働量を節減できることや、作物の生産性向上で価格以上の価値があることが認められている。

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