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耕すということ

中耕除草の意味と効果=高畦栽培の前に考えること

 北海道では大正の中期から三畦カルチベータが使えるようになるが、この頃から機械化技術は一段と飛躍する。馬の場合、トラクタのように適宜作業速度を変えるようなことはできないので、中耕・除草・培土刃をそれぞれ形状に工夫して能力を発揮できるようにするのである。

 最近、トラクタ用カルチベーダも力の時代から質の時代に入り、より内容を重視されるようになってきた。畜力時代の技術を参考にし、時代に合わせて各種の爪が改良され、一般に利用されるようになってきた。歴史の繰り返しであろう。


「たかが培土」というなかれ


 培土には小培土と大培土があるが、この場合も基本は反転鋤込み耕である。土を寄せるだけであっては、雑草を抑制することもできず、形状を整えることもできない。

 写真6にみられるように、理想的な培土をすべく、畜力時代に培土プラウが開発されている。曲面はボトムプラウに似ており、大きく土壌を反転しながら株際に寄せるようにしている。これをさらに現代風に改良したのが写真8の整畦培土機である。

 写真7は戦後導入されたトラクタ用の畝立て機である。滑らかな形状で素晴らしい機械と考えられたが、広く共感を得るものではなかった。培土は土を寄せるだけでは満足できるものではないからである。

 培土した後の除草は、形が整えられているだけに非常に困難である。したがって、培上前に充分な除草の手当てをしなければならないと同時に、培土法においても、雑草が生えないように工夫しなければならないのである。培上機にプラウに近い曲面を持たせているのは、反転鋤込みによって雑草を抑制しようとしていることに他ならない。

 もちろん、馬鈴薯の場合は、培土された部分が養分吸収領域であり、大型の培土にするのが有利であるのは論をまたない。プラウに近い形状であれば、土壌を大きく寄せることができ、大型に仕上げることができる。それはそのまま増収に結び付くものである。

 たかが培土ではないのである。培土も耕す技術なのであり、手を抜くことは許されない。整畦培上とは新しい呼称であり、多少の降水でも型崩れしないようにカマボコ状に形を整えたことに始まる。写真8にみるように、整畦培土機には中耕爪も付されている。畦間を深く破砕しておくことによって排水性は良好になり、大型培土の効用と相まって湿害を招くようなことはない。

 粘質土壌地帯では、ロータリカルチベータに整畦培土機を取り付けて畦間を砕土しながら培土することが行われる。この場合注意しなければならないのは、ロータリの爪の配列である。馬鈴薯の培上期には、根は横に這っているものである。その根をロータリで切断してよいことには決してならない。両側のブレードを外して作業すべきである。中央2列のブレードでも砕土は充分であり、きれいな培上ができるものである。

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