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硝酸態窒素量とpHの関係に注意
さて、採取した溶液から得られる作物にとっての栄養分析についてだが、最も重要なのは窒素成分である。すなわち硝酸態窒素がどの程度含まれているかということだ。 数ある無機栄養の中でも、窒素成分は作物に最も必要であり、なおかつ、その与えられる量の多少により収量、品質が左右されるだけでなく、病虫害の発生、さらに土壌そのものへの影響、また地下水への汚染にいたるまで、関係のある事柄は枚挙にいとまがない。
この窒素成分も、大半の作物は硝酸態窒素の形で利用している。だから、作物栄養的に、非常にその吸収利用の量が問題となる。そしてこの硝酸態窒素の時期別吸収量の研究が、今後現場で大いに役に立つはずである。従来このことは、ECの測定値が相関が高いということで土壌溶液のEC値を知り、それから硝酸イオン濃度を測定していたが、現在では低価格で高性能、しかもたいへんコンパクトなイオンメーターが発売され、現場で活躍している。(写真(2))
イオンメーターというものがない時代の硝酸イオンの分析は、サンプルに薬品を加え、複雑な過程を経て発色させ、それを機械で濃度判定して行なうというもので、ある程度の訓練を積まないとなかなか正しい測定ができなかった。その方法に代わって、20年ほど前に、電極を使って調べるイオンメーターというものが登場し、筆者も当時使っだ経験がある。しかしまったく不安定で、高価な割にはまったく実用性のないものだった。
しかしその後数々の改良が加えられ、現在のカードタイプという夢のような製品が誕生したわけである。使い方は実に簡単で、サンプル溶液を一滴フラットなセンサー部に落とすだけで測定できる。
濃度は硝酸イオンの濃度としてppmの単位で表示される。これは何も難しいものではなく、parts per millionの略、すなわち100万分の1のことで、日常よく使うパーセント(100分の1)と考え方は同様である。もう一つ説明を要するものに、硝酸イオン濃度と硝酸態窒素濃度という、少々まぎらわしい用語がでてくるが、この意昧にふれておこう。
硝酸イオン濃度は、NO 3 溶液中に存在するかということ。そして硝酸態窒素濃度とは、それを窒素成分に換算してどのくらいの濃度になるかということである。つまり化学記号を用いて説明すると、 NO 3 分のN
ということで、
N=14+0-16×3分のN=14
のような計算式となり、
62分の14≒0.225
となる。たとえば、硝酸イオン濃度が80ppmなら、硝酸態窒素濃度は80×0.225=18。つまり、18ppmということになる。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
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