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自分の畑は自分で診断する

これなら分かる「土と肥料」の実践講座-土壌溶液たった今の栄養状態を知るにはその2

 さて、この溶液から得られる分析値の活用についてだが、phとECは多くの優れた測定器があるから問題ないが、各種無機成分については、硝酸イオン以外の分析にはまだ少し問題があるようだ。

 野菜園芸、花弁園芸においては、土壌溶液中の石灰の量に細心の注意を払いたいので、その分析に活用できないかと考えるわけだが、現在のところその方法は確立していない。

 そこで現段階では、採取した土壌溶液の中の硝酸態窒素、phとEC、この3つの状態を追求していくことになる。とくに役立つのが、追肥の適否である。自分が思っているよりも、今の追肥法はかなりの高濃度になってしまっていないか、チェックすることができる。とくに施設園芸での塩類障害の実態については、この方法によればはっきり把握できる。

 全農が示した調査例を挙げておこう。この調査研究でもある程度推測できるように、硝酸イオンの濃度適正値は、おおむね500~600ppm付近にあり、これは他の作物においても共通の数字である。さらに興味深いことに、水耕栽培やロックウール耕においても、窒素の濃度レベルはこの範囲ということだ。

 次にphとECについてだが、phは大半は中性域で推移する。注意を要するのは、塩類濃度が上がり、硝酸イオンが増えると、その影響で曲は下がる点である。このとき、曲が下がったからと石灰を施してしまった事例があるが、これは間違いである。

 このように土壌溶液から得られる情報は土そのものからの変化、そして施肥、かん水作物の吸収、有機物の分解等、土と作物のまさにスクランブル交差点なので、このことをよく考え、今後活用法の開発を進めるべきである。

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