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【エクセレント農協探訪記】
三カ日町柑橘出荷組合を設立、徹底した品質管理が成功の鍵 三ヶ日農協 静岡県
- 土門剛
- 第2回 1995年04月01日
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ルール違反に脱退勧告
「色よし、味よし、日持ちよし」のキャッチフレーズで、三ヶ日ミカンのブランドが、家庭の主婦にまで定着するようになったのは、約半世紀に及ぶ徹底した三ヶ日町農協(後藤幹夫組合長、正組合員数1793戸)の営農指導と品質管理にある。三ヶ日ブランドが確立されるまでの苦労について、自らも5・5haのミカン園を経営する後藤組合長は。
「農協では、『腰高』、『浮き皮』、『スレ』など見栄えの悪いものは絶対に出荷させません。糖度も重要なチェック項目になっていて10度以下は受け付けません。粗悪品を選果場に持ち込んだ生産者には、規定によりペナルティ(罰則)が課せられます。過不足が許されるのは5%以内と決めています。出荷量の過不足も当然ペナルティの対象となります。農協で決めたルールは組合員にきちんと守っていただきます。ルールに違反した場合は脱退勧告することもあり得ます」と言い切る。
この厳格な選果が、三ヶ日ミカンの品質を高め、市場の絶大な信頼を勝ち得る最大のポイントとなったことは言うまでもない。農協の組織力で徹底した品質管理体制を築いてきたと言えるのではないだろうか。
三ヶ日町農協のミカンの品質管理は少々複雑な体制で行われている。後藤組合長に尋ねると、「実はミカンに関して農協は『ノータッチ』なんですね。農協の選果場はすべて出荷組合に貸しています。運営もすべて出荷組合が行います」という答えが戻ってきた。
農協の中に出荷組合があるのは屋上屋を重ねる組織ではないか。そう思って組合長に疑問をぶつけると、
「出荷組合ができたのは昭和35年ですが、それまでは商人の方が力が強く、農協にはミカンが集まりませんでした。こんなことをやっていたら、農協は商人に搾取されるだけと危機感を募らせ、組合員農家が結集して商人に対抗すべき組織を作るべきだということで出荷組合が設立されました」という答えだった。
農協の中に出荷組合が設立されるのは、別段珍しくもないが、三ヶ日町農協のように、ミカンの選果と販売に関しては出荷組合がすべてを取りぼ切っているのは、全国でも珍しい例だと言われている。出荷組合長は、もちろん組合員農家から選ばれるが、出荷組合の運営に関しては、農協の役員といえども一切口出しができないけ組みになっている。農協が担当するのはミカン生産の技術指導など営農面だけだという。
専業が支える品質管理
三ヶ日町農協の正組合員のうち三ヶ日町柑橘出荷組合に加入する農家は1017戸。正組合員に対して約57%の加入率だ。経営形態別では、専業農家が325戸、第一種兼業農家は320戸、いずれも正組合員に対して18%の比率である。後藤組合長は。
「三ヶ日町内で生産されるミカンは年間4万3000t、このうち出荷組合の共選場で扱うマルエム・マークのついたミカンは3万6000tあります。その7割は専業農家によって生産されています。三ヶ日町の産地ブランドが維持できるのは、熱心な専業農家によって支えられていると思いますね。第2種兼業農家は高齢化や後継者不足などで減る傾向にありますが、一方で専業農家が規模拡大を図っていますので出荷量の面では影響はないと思います」と説明する。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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