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サヤエンドウ 業務用と一般用に時期区分 夏場中心の産地をどう作る
【概況】
サヤエンドウは、冬から春にかけて入荷が増え、夏場から秋に極端に落ち込み冬に向かって増えていくというパターンの品目である。相場は12月が最も安く、それから徐々に上がり始めて8月、9月がピークとなる。その価格差は3倍以上。数量差は8倍にもなる。ところが、平成6年については、この格差が一段と大きくなっだのが特徴。最も少なくて高い9月と、逆に多くて安い12月を比べると、価格差は6倍以上、数量に至っては15倍だ。入荷面での大きな特徴は中国産の進出である。年間の入荷シェアはついに40%を超え、10月から2月までは6~7割のシェアがある。その一方で、4月から9月まではほとんど入荷しない。夏場は、東北、北海道産地が分担している。
【背景】
この品目ほど需要構造が明確に入荷や販売に表れるものはない。年間通じてある業務用。そのため、夏場は絶対量が不足してキロ2000円以上という信じられない価格となる。一方、一般需要が強い12月、1月は数量も多く単価もキロ500円前後となる。この品目は、収穫や選別、出荷作業仁手間がかかり、かつての産地の規模の縮小または中止が見られる。これに対してかつては台湾産、現在では中国産やベトナム産が急成長している。この国々がサヤに“強い”のは、国内でごく一般的な野菜であり生産量も多いこと。たくさんある国内向けのものから、日本市場に向く規格のものを選別すればいいだけだからだ。ただし10月に関しては、中国産の供給が多すぎて値崩れ状態。まだ業務用主体の時期だからだ。
【今年の対応】
この品目に関しては、10月から3月ごろまでの中国産主体の時期には国内生産は導入しないほうがいい。しかし4~9月の高温期には、当分輸入拡大は見込めない。低温流通システムなどのインフラが未整備だからだ。春から夏にかけて中部東海から東北、北海道地区においては、まだ生産導入の余地がある。最もネックである労力不足に関しては、生産と出荷作業の分離や外部化などの対策のほか、東北産地などで見られる「シルバーパワー」の活用などに活路がありそうだ。大型産地でなくていい。少量生産をある程度の広域で集荷してロットにまとめる、といった工夫を。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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