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【特集】
分業化・機械化で価値を高める収穫イノベーション
- 編集部
- 2004年08月01日
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袋詰めを省略、発泡スチロールで出荷
【調整作業を分業し、圃場拡大を目指す】
埼玉県児玉郡上里町の「昔がえりの会」代表取締役社長金井明氏は、自身の圃場に2haの茶豆系品種のエダマメを栽培している。経営方針の柱は圃場の拡大と収穫・調製作業の省略。「生産者は圃場にあるべき」との考えに基づいている。7月10に収穫が始まったが、朝5時から作業の先頭に立つ金井氏の姿は、その言葉を裏打ちしている。
「関東地区昔がえりの会」で作戦参謀的役割を果たす小暮郁夫専務も、農地価格が下がっている現状を考慮し、今は「連作障害の不安を抱えながら狭い場所で回転を上げる」時代ではなく、規模を拡大し「大量生産によるコスト競争ができる体制を作る」時だと話す。
狭い圃場で、ぎりぎり利益が出る単価を設定するような経営ではリスクが高すぎる。
広い圃場があれば増収が望めるだけでなく、土地を休めさせ、輪作で土地を回転させることができ、収量を安定させられる。
「求めるのは高い労働生産性と安定性です。年一作なら一作でも、ある程度の収入が保証される余裕を持つことが大切」だと小暮氏は話す。さらに「小袋詰めなどによって価格を上げることには限界がある。それでは、将来につながる利益をあげられない。農家本来の仕事は土地で作物を作ることだ」と付け加える。
これを実現するには、農家にしかできない仕事を明確にし、それ以外の作業に人手や時間が奪われない作業環境を整えねばならない。
「関東地区昔がえりの会」では卸先からの提案もあり、最後の調製作業となる小袋詰めを手放した。エダマメを5kg単位で発泡スチロールに梱包し、予冷をかけて出荷する。
作業を省略するからといって「売り場」を無視するわけではない。
小暮氏は「一見荒っぽく見えるが、生産者の写真が印刷されたビニール袋と沖縄県産の特製塩をエダマメの入った発泡スチロールに同封」し、「『昔がえりの会』というブランドとしての付加価値を付け、フォローした」と話す。
小袋詰めはスーパー等で行われる。これは、生産者とマーケットサイド間の調整作業の分業と言える。
これはまだ、収穫・調製作業の一部の連携に過ぎない。
しかし今後生産者でない第三者(流通業者、加工業者、外食産業など)が積極的に収穫・調製を分担する動きが見られれば、生産者はより圃場に集中でき、大量生産、安定供給できる環境が生まれるはずだ。
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