ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

種子販売自由化前夜

民間企業・団体による水稲育種・販売の最新動向

 同研究所が水稲の育種目標に一環して掲げている事柄は、(1)対象とする各地域の主な栽培品種よりも食味が良いこと、(2)病害抵抗性が優れること、(3)強い稈を持ち耐倒伏性に優れること、の3点。したがって同社の各品種はいずれも共通にこれらの特徴を持っており、各地域への対応という点は、熟期によって振り分けられている。

 これまでに開発された各品種はSTAFF(農林水産先端技術産業振興センター。農水省の外郭団体)を通じて順次各県に紹介され、奨励品種指定のための評価試験に供されている。現在試験中の品種はいわた3号、いわた5号、いわた8号、いわた9号、いわた10号、いわた11号の6品種。最も期待されているのは3号と5号で、ともに葵の風とあきたこまちの交配から育成された品種である。3号は東海から九州の広い範囲を産地のターゲッ卜としており、平成5年より岡山県、香川県、長崎県、佐賀県、熊本県の5県で評価試験に入っている。5号はさらに南部に特化し、中四国、九州をターゲットに、昨年から評価試験に入っている。この品種は昨年の栽培では収量性良好との評価を得ている。

 8号は朝ノ光とコシヒカリの交配で、やや耐冷性を強化し、関東以西以南をターゲッ卜としている。これも一部は試験開始から3年になる品種である。9号は葵の風とキヌヒカリの交配で、昨年から評価試験開始。これもやはり関東以西以南での栽培を狙う。

 10号と11号はともに今年から試験に入ったもので、ともに葵の風とコシヒカリを交配したものに、さらにコシヒカリを戻し交配した品種。これらは対象地域を北へ広げ、南東北、関東、北陸の各地域での栽培を目標に育種されたもの。ともに秤が強く、熟期が早いのが特徴となっている。

 ただし、これらが実際に生産圃場に出回る時期となると、まだ少し時間がかかりそうである。

「その品種がよいものであれば、だいたい5年くらいで奨励品種の指定が得られる。今年試験を受けている6品種は長いものでも試験開始からまだ3年なので、あと2~3年はかかる」(アグリ事業部課長代理橋本辰夫氏)

 種子の販売価格をある程度抑えるためにも、各品種ごとに相当数の栽培者を確保する必要がある。補助金によって開発コストがまかなわれることのない民間育種であれば、これはなおさらである。しかし、仮に指定種子取扱業者制度がなくなるにせよ、県単位の奨励品種制度がなくならない限りは、新品種の栽培者を一挙に増やすことは難しい。同社にはそういう判断がある。

「客観的な品質と、栽培者からの評価、そして消費者の評価、これらのバランスが大切。そしてやはり各県ごとの戦略とも合致していなければ、広く栽培される品種となるのは難しい」(橋本氏)

 このため多少時間はかかっても、じっくり各県のお墨付きを待つという構えである。

関連記事

powered by weblio