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スーパー読者の経営力が選ぶあの商品この技術

こうざきグリーンサービス21 鈴木 一司氏/千葉県神崎町、瀧島秀樹氏/千葉県大栄町、(有)ゼンショウ 若杉誠吾氏/宮崎県宮崎市

利根川の底砂を客土した圃場は、砂地ゆえの特異な条件を持つ。それは、生産体型やそこで使う機械、資材選びにも大きな影響を与える。

千葉県神崎町 こうざきグリーンサービス21代表 鈴木一司氏

【経営データ】
年間売上げ:1,700万円(こうざきグリーンサービス21としての売上げ。コメは組合員が各自で管理しているため除く。鈴木氏のコメの売上げは1,200万円)/2004年経営面積:31ha(年2作、200%計算。小麦8.2ha、ジャガイモ6ha、ヤマトイモ1ha、エダマメ1.7ha、大豆11ha、黒大豆1ha、加工用黒豆2ha。以上がグリーンサービス21の経営面積。鈴木氏の米の栽培面積は14ha)/労働構成:組合員5名(コメの生産は各自がそれぞれ行う)、その他臨時雇用/出荷先:JA、生協、(株)カルビーポテト、(農)和郷園、直販、直売所への委託販売


 鈴木氏が代表を務める「こうざきグリーンサービス21」の圃場は、農道で三つに隔てられた15haごとの水田。それを畑作と水田でブロックローテーション(水田2ブロック、畑作1ブロック)する。水田は5人の組合員各自が自身の土地を管理し、転作地は共同作業になる。

 転作地では、収穫期が重ならないよう小麦、ジャガイモ、ヤマトイモ、エダマメ、大豆、黒大豆、加工用黒豆を栽培するため、1年を通しほとんど畑を休ませない。また、翌年には水田に戻すため土壌病害の心配はないが、圃場を均平にする必要があり、レーザーレベラーは欠かせない。

 土質は利根川の河川改修で出た土を客土した砂地。この圃場条件は、生産体型やそこで使う機械や資材選びにも大きな影響を与える。

 砂地であるがゆえに透排水も土のこなれも良く、畑にしやすい。一方、水田に戻すのも容易だ。暗渠がよく効くので畑状態でも水管理が自由自在にできる。

 しかし、砂地ゆえに土壌の有機成分が少くなく、肥料の持ちが悪という欠点もある。この問題はマニュアスプレッダで、年間600t(3t/10a)もの堆肥を施すことで克服している。

 翌年には水田に戻すため、作土層にのみ有機成分があればよく、プラウによる反転耕をする必要がない。ロータリは使わず、水はけを保つためにプラソイラを使うのみだ。

 また、この土質の特徴は収穫にも表れる。有効に作用するのは、ジャガイモの収穫で、土がきれいに落ちイモに土塊が混じらない。

 反対に問題になっているのは、ヤマトイモの収穫。土の抵抗が少なく、土そのものを動かしてしまうため、堀り取り機がイモを持ち上げられないのだ。

 鈴木氏の経営哲学は「常に新しい技術を学び、それに投資することは決して無駄にならない」というもの。それだけに、「稲作用以外の農業機械で100点を出せるものは見たことがない」と要求は厳しい。家業の農業を継ぐに当たって、農機店で整備士として修行することを選び、二十数年二足のわらじで農業に取り組んだ、”機械屋“の言葉には重みがある。

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