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耕すということ

草地更新「土・草・牛」の基本を取り戻せ!

近年、草地の荒廃が目立っている。これは何に起因するのであろうか。探ってみると、牧草も作物であるにもかかわらず、まともな管理がされていないこと、加えて、多頭飼育になってきたばかりに、その量の多さから堆厩肥は発酵処理をされずに、生の状態で草地に還元され、それが雑草化を激しくしていることなどがある。
 近年、草地の荒廃が目立っている。これは何に起因するのであろうか。探ってみると、牧草も作物であるにもかかわらず、まともな管理がされていないこと、加えて、多頭飼育になってきたばかりに、その量の多さから堆厩肥は発酵処理をされずに、生の状態で草地に還元され、それが雑草化を激しくしていることなどがある。


濃厚飼料依存体質が草地管理の手抜きを生む


 外国からの輸入濃厚飼料に依存する体質が、草地管理をおろそかにしていると思われるが、これはおかしいことである。酪農や肉牛の飼養管理の基本は牧草にあったはずである。「土・草・牛を愛す」のロマンは何処へ行ってしまったのであろうか。この辺で原点にたち戻り、新しい草作りについて考えてみる必要があると思える。

 家畜も生き物である。我々人間が健康を維持し、豊かな生活を営むためには、バランスの取れた食物を摂るように工夫している。より健康であるためには自然食を、などと心掛けているが、家畜とて同じことである。飼料構成に手抜きがあってはならない。

 草地を更新すると、収穫が多くなるばかりでなく、嗜好性がよく、喰い付きが多くなることが知られている。これは更新によって草種構成のバランスがよくなったことはもちろんだが、根が広く張り、土壌中のミネラルをよく吸収しているからだと言われている。

 草地を何年も更新しないでおくと、機械によって草地が踏み固められてしまい、表層直下に硬盤が形成されてしまうことになる。このため牧草は下方に根を伸ばせない。とすると下方から養分を吸収できないばかりか、旱魃時には水分を吸収できずに減収するのである。

 硬盤は不透水層でもある。降雨があると、表面帯水し、湿害をももたらす結果となる。つまり、硬盤形成は旱魃害と湿害をもたらし、まともな牧草を収穫させないのである。昔はそんなことはなかったと言っても、技術体系が変わっているからには、それなりの手当てをしなければならないことは論をまたない。

 牧草は比較的肥料反応のよい作物である。化学肥料を施せば、その費用負担は気になっても、ある程度の収量は期待できる。しかし、この安易さが問題と言えよう。収量は何とか確保できたとしてもその牧草の内容である。化学肥料だけで栽培する牧草は、決してまともな牧草とは言えないからである。人間様も自然食を嗜好するなら、家畜にもそれを与えるのが筋と言うものであろう。

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