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点適法
次に点滴法についてですが、吐出口から水がシャーとでる散水タイプに比して、吐出口からポタポタと点滴状で出てくるのが最近話題をよんでいる点滴タイプの潅水法です。
この点滴法の目的は、まず施設園芸の問題点であるハウス内環境の多湿を少しでも改善することです。
この多湿は、病気の発生、作物の軟弱化に直結するものですが、散水法ではどの方式であるにせよ、広い面積に余分な水を撒き散らしてしまうため、ハウス内を多湿にしてしまい、しかも作物にとっては過多の水が原因で酸欠になったり、土壌構造をこわし、表面を固くクラフトしてしまうとか、肥料の流亡や温度低下などデメリットに結びついてしまうことが多いわけです。
この点、点滴法による水の土中にしみこんでいくスピードは、土の毛管にゆっくりと伝わっていくもので、酸素の供給も同時にすすめていくので理想的と考えられています。
また、各吐出口から出る水の量がとても正確で、しかも長い距離を延長しても、また高低差があっても、各点滴口から出る水量は均一性があるということです。
この潅水ムラのないということは、実は施設園芸においてはたいへん重要なことなのです。
ハウス内を観察して、濯水チューブのスタート付近と端末に植えられた作物の出来に違いのあることを経験することが多いと思いますが、これは潅水ムラによることが大半です。
また液肥の同時施用も確実に行うことができて、しかも目づまりしにくい仕組みになっているので、この面からも点滴法は優れているということです。
この濯水と施肥を同時に行なう方法を肥料(Fertilizer)と濯水(Irrigation)の 2つの言葉を組み合わせFertigation(ファーティゲイション)と呼んでいます。
点滴方法には地表点適法と地中点適法があります。
地表点滴法は点滴チューブを地表に這わせるだけのもので、接合部品もよく揃っているので設置は実に簡単です。
点滴チューブのけ組みは、各吐出口にドリッパーと呼ばれる減圧部がついており、この中を減圧されながら渦巻き状に水が通過するので、ゴミや肥料の沈殿物も目詰まりしにくくなるというわけです。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
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