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池田 私も最近、そうして自然な状態で育てているキャベツなどの野菜を見まして、とてもよく育っている様子を見て感心しました。
関 そういう作り方ができるように、これからもがんばってください。
圃場・経営改善のポイント [1]砂地
保水力と保肥力の低さをいかに補うか
砂は土ではないと考えている人もいるかと思いますが、間違いなく土です。ただし、土は造岩鉱物、粘土鉱物、腐植、生物という4つの成分の混合物(本誌4号30頁参照)ですが、砂地の場合はこのうち造岩鉱物が極端に高い割合を占めます。
一方、粘土鉱物と腐植の存在はわずかで、生物の数も少ないと言えます。このような砂地での農業は不可能かというと、決してそのようなことはなく、日本各地に砂地の優良な野菜産地が数多くあります。
しかし、肥沃度という尺度で土を考えると、砂地はまったく肥沃ではなく、事実、砂丘地の自然植生は限られた植物が細々と生きているだけです。ではどうしてこんな条件下で作物栽培が可能なのでしょうか? この疑問を解くことが、砂地農業改善の第一歩のようですので、まず、砂の欠点から考えていきましょう。
(1)塩基交換容量が極端に小さい
土の化学的性質に、塩基交換(本誌5号29頁参照)というものがあります。土のコロイドと呼ばれる微細な粒子(粘土鉱物、腐植)が、水の存在によって塩基(作物の無機養分)を吸着保持・交換するのです。この無機養分を吸着できる土の容量をCEC(塩基交換容量)といい、土の保肥力の大事な指標にしています。
砂は粘土鉱物や腐植が極端に少ないので、CECも大変低い値しかしめしません。日本の耕地のCECの平均値が20ですが、砂は2~5程度です。
(2)粗孔隙が大半で水分保持に独特のクセがある
どのような大きさの粒子が土を構成しているかということを粒径組成といいます。砂はこの粒径組成を調べてみるまでもなく、大きな粒子が大半を占めていることがわかるでしょう。このため粒子間のすき間、つまり孔隙も大きなもの(粗孔隙)が大半を占めます。中間ぐらいのすき間はあまりなく、ごく小さなすき間が残りを占めます。
逆に、火山灰など壌土と呼ばれるような土はこの中間の大きさのすき間が多数あるので、水持ちに関しては大変に扱いやすいことになります。これに対して、砂は植物にとって都合のよい水が含まれる割合が少ないことが特徴です。
都合のよい水というのは、植物の根が吸水をしやすいかそうでないかということです。土の孔隙に含まれる水は何でも植物が利用できるかというとそうではなく、ある範囲の水がうまく吸収利用され、ある限界を超えて上が乾燥してしまうと、水分があるといっでも利用できない水となります。
関 そういう作り方ができるように、これからもがんばってください。
圃場・経営改善のポイント [1]砂地
欠点を補えば高品質のものが期待できる
保水力と保肥力の低さをいかに補うか
砂は土ではないと考えている人もいるかと思いますが、間違いなく土です。ただし、土は造岩鉱物、粘土鉱物、腐植、生物という4つの成分の混合物(本誌4号30頁参照)ですが、砂地の場合はこのうち造岩鉱物が極端に高い割合を占めます。
一方、粘土鉱物と腐植の存在はわずかで、生物の数も少ないと言えます。このような砂地での農業は不可能かというと、決してそのようなことはなく、日本各地に砂地の優良な野菜産地が数多くあります。
しかし、肥沃度という尺度で土を考えると、砂地はまったく肥沃ではなく、事実、砂丘地の自然植生は限られた植物が細々と生きているだけです。ではどうしてこんな条件下で作物栽培が可能なのでしょうか? この疑問を解くことが、砂地農業改善の第一歩のようですので、まず、砂の欠点から考えていきましょう。
(1)塩基交換容量が極端に小さい
土の化学的性質に、塩基交換(本誌5号29頁参照)というものがあります。土のコロイドと呼ばれる微細な粒子(粘土鉱物、腐植)が、水の存在によって塩基(作物の無機養分)を吸着保持・交換するのです。この無機養分を吸着できる土の容量をCEC(塩基交換容量)といい、土の保肥力の大事な指標にしています。
砂は粘土鉱物や腐植が極端に少ないので、CECも大変低い値しかしめしません。日本の耕地のCECの平均値が20ですが、砂は2~5程度です。
(2)粗孔隙が大半で水分保持に独特のクセがある
どのような大きさの粒子が土を構成しているかということを粒径組成といいます。砂はこの粒径組成を調べてみるまでもなく、大きな粒子が大半を占めていることがわかるでしょう。このため粒子間のすき間、つまり孔隙も大きなもの(粗孔隙)が大半を占めます。中間ぐらいのすき間はあまりなく、ごく小さなすき間が残りを占めます。
逆に、火山灰など壌土と呼ばれるような土はこの中間の大きさのすき間が多数あるので、水持ちに関しては大変に扱いやすいことになります。これに対して、砂は植物にとって都合のよい水が含まれる割合が少ないことが特徴です。
都合のよい水というのは、植物の根が吸水をしやすいかそうでないかということです。土の孔隙に含まれる水は何でも植物が利用できるかというとそうではなく、ある範囲の水がうまく吸収利用され、ある限界を超えて上が乾燥してしまうと、水分があるといっでも利用できない水となります。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
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