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【女化通信】
小規模農家の畑作野菜経営の方法
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第1回 1995年08月01日
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高松氏は今年、借地の畑85aにバレイショを作った(10号23頁参照)。「府県での畑作野菜経営」の一つの形を組み立て ようという経営実験の意味もあった。
本来「畑作」とは、機械化による省力や規模のメリットを活かして利益を生み出していくという性格の経営である。栽培技術だけでなく機械や労働力を使い回す経営能力が利益の差となる。
しかし、府県での加工用トマトやニンジンあるいはバレイショなど、いわゆる「畑作野菜」の経営は、10~30aといった小規模な単位での栽培がほとんどであり、しかも人力を主体とした家族労働に依存した労働集約型の「園芸的」経営でなされている場合が多い。しかし、そのような仕事である限り、自分の労力を切り売りするだけの経営になってしまう反面、その意識の切り換えが可能なら、むしろこれからの有望分野にもなる。高齢者や他の複合部門を持つ経営者でも、作業委託をうまく使うことで利益を上げていく方法もある。
高松氏の労働力は夫婦二人。仮に収穫が機械化しても人力での大量のコンテナ運搬作業は苦痛だ。収穫は集荷業者である河原青果(株)(石岡市・0299‐23‐0961)にビートハーペスタでの掘取りから作業を頼み、その収穫作業手数料(1kg当り6円)を引いて手取りで1kg当り48円の単価で引き取ってもらうことにした。
収穫作業を外注すれば手間は大幅に減る。その労働時間当りで考えれば単価も悪くはない。むしろ問題は、畑作部門での受委託の成立と作業を外注する側の経営センスの問題なのだ。
今年のバレイショ作りにあたって高松氏は、(1)収穫を外注するために畝幅はビートハーペスタに合わせた80cmにすること、(2)北海道と同様の高畝栽培をティラーのアタッチメントで行なうこと、(3)除草は、除草剤を一回使う以外、レーキを使ったメクラ除草とカルチがけ、それと高畝整形の前後2回の培上で済ますことなどを念頭において取り組んだ。
培上はスキガラのティラー用プラスチック培上機を使い、播種後の仮培土と本培上の2回に分けた作業で、全く問題なく予定の高畝が作れた。除草は、落葉かき用のレーキでのメクラ除草とティラー用のカルチと培土作業で栽培中の問題もなかった。しかし天候不順のために収穫作業が遅れ草が出てしまっだので、収穫機の作業精度を高める目的で予定外の手取り除草をしなければならなかった。
振り返ってみれば条件の悪さと同時に反省点も多かった。圃場の地下水位が高く、畑の半分が長雨のために何度も冠水してしまったこと。これについては高畝とすることでかなり害は軽減されたはずだ。しかし、植付けが遅く、株間の設定も狭すぎたし、施肥法にも問題があったようだ。そのためねらった水準をはるかに下回ってしまった。本誌執筆者の村井・関の両氏や後日相談に乗って貰った石川氏からも、植付け時の施肥方法に問題があると指摘を受けた。植付け時に種イモの下部とともにイモの左右に側条施肥することでもっと収量は上げられたというのだ。そのための作業法の工夫や専用の作業機の利用を検討する必要がある。
本来「畑作」とは、機械化による省力や規模のメリットを活かして利益を生み出していくという性格の経営である。栽培技術だけでなく機械や労働力を使い回す経営能力が利益の差となる。
しかし、府県での加工用トマトやニンジンあるいはバレイショなど、いわゆる「畑作野菜」の経営は、10~30aといった小規模な単位での栽培がほとんどであり、しかも人力を主体とした家族労働に依存した労働集約型の「園芸的」経営でなされている場合が多い。しかし、そのような仕事である限り、自分の労力を切り売りするだけの経営になってしまう反面、その意識の切り換えが可能なら、むしろこれからの有望分野にもなる。高齢者や他の複合部門を持つ経営者でも、作業委託をうまく使うことで利益を上げていく方法もある。
高松氏の労働力は夫婦二人。仮に収穫が機械化しても人力での大量のコンテナ運搬作業は苦痛だ。収穫は集荷業者である河原青果(株)(石岡市・0299‐23‐0961)にビートハーペスタでの掘取りから作業を頼み、その収穫作業手数料(1kg当り6円)を引いて手取りで1kg当り48円の単価で引き取ってもらうことにした。
収穫作業を外注すれば手間は大幅に減る。その労働時間当りで考えれば単価も悪くはない。むしろ問題は、畑作部門での受委託の成立と作業を外注する側の経営センスの問題なのだ。
今年のバレイショ作りにあたって高松氏は、(1)収穫を外注するために畝幅はビートハーペスタに合わせた80cmにすること、(2)北海道と同様の高畝栽培をティラーのアタッチメントで行なうこと、(3)除草は、除草剤を一回使う以外、レーキを使ったメクラ除草とカルチがけ、それと高畝整形の前後2回の培上で済ますことなどを念頭において取り組んだ。
培上はスキガラのティラー用プラスチック培上機を使い、播種後の仮培土と本培上の2回に分けた作業で、全く問題なく予定の高畝が作れた。除草は、落葉かき用のレーキでのメクラ除草とティラー用のカルチと培土作業で栽培中の問題もなかった。しかし天候不順のために収穫作業が遅れ草が出てしまっだので、収穫機の作業精度を高める目的で予定外の手取り除草をしなければならなかった。
振り返ってみれば条件の悪さと同時に反省点も多かった。圃場の地下水位が高く、畑の半分が長雨のために何度も冠水してしまったこと。これについては高畝とすることでかなり害は軽減されたはずだ。しかし、植付けが遅く、株間の設定も狭すぎたし、施肥法にも問題があったようだ。そのためねらった水準をはるかに下回ってしまった。本誌執筆者の村井・関の両氏や後日相談に乗って貰った石川氏からも、植付け時の施肥方法に問題があると指摘を受けた。植付け時に種イモの下部とともにイモの左右に側条施肥することでもっと収量は上げられたというのだ。そのための作業法の工夫や専用の作業機の利用を検討する必要がある。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
女化通信
昭和5年生まれの高松求氏は、茨城県牛久市女化町という畑地帯に住む複合経営農家であるご自分ではすでに引退した“経営者”だという同氏だがその経営体験から生まれるさまざまなアイデアや経営への考え方は聞く者の規模や作目を問わず、示唆に富む「女化通信」のタイトルで同氏のその時々の仕事と本誌とも共同で進める経営実験の模様を紹介していきます。
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