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特集

リスク回避と経営発展のための新天地を探す 農場“分散・移転”のススメ

東日本大震災にともなう原発事故の事故の影響はもちろん、戸別所得補償政策によって農地集約の動きが遅くなっているなど、経営発展を考える農業経営者は、これまで以上に生産拠点であり経営資源である農場を地縁血縁のない場所への移転を検討せざるを得ない状況になりつつあるようだ。慣れ親しんだ地域で規模拡大を目指すのもそれはそれでありだが、ここは心機一転、積極的に新しい土地を求めていってはどうだろうか。取材・文/金繁美由紀、鈴木工、編集部

今ここが最適な農場でも 明日は違うかもしれない

欧米経済の回復の遅れ、信用不安問題や米国の失業率の高止まりなどによって円高傾向が止まることはしばらくなさそうだ。その影響を受けてこれまでは大手製造業だけが海外進出してきたが、大手企業の下請け・孫受けという位置づけにあった中小企業でさえ、海外転出を考えているという話はよく耳にする。

「廃業するぐらいならば海外に出て行くしかない。さもなければ廃業しかないのだから……」というのが中小企業経営者の本音だろう。マスメディアの報道では、このような経営者の苦渋を時に批判的に論じることがある。しかし、経営資源の最適化を常に考え、生き残り続け、その解決策を見出すのが経営者の役割である。多少のリスクやコストがあろうと「そこでやる」覚悟さえあれば外部からの批判などなんら恐れることなく、今ある場所から新天地へ飛び出していけばいいのだ。
ひるがえって農業界を見てみよう。

戦後の農地解放によって、小規模自作農が創出された。結果、経営者ではなく、“担い手”なる言葉が生まれてきてしまったように、農家は与えられた農地で経済活動を慎ましやかに行なうことが善であるという精神構造を持つにいたった。本来、事業、職業、金儲けの手段として農業を選択したにもかかわらず。

もちろん、幼いころから慣れ親しみ、生活の中でその風土や気候を知っている地域の中で、規模を拡大し農業経営を発展させていくのは理想的といえる。また地域の中で信頼を得、経営資源である農地を集積していけるのは、優れた農業経営者特有の資質でもある。

だが、同じ地域での農業経営は、常に自然災害のリスクがつきまとう。現在進行形の福島第一原発事故による放射性物質汚染問題もしかり、である。つまり、農地を同じ地域においておくこともまた、リスクをともなうことでもあるのである。

であるならば、リスクヘッジをする意味でも、農場を分散・移転させることを考えていいのではないだろうか。

タイトルに「ススメ」とあるが、当然ではあるが、無理強いするものではない。ただ、現在のあなたの農業経営に当面は必要がなくても、将来の農業経営のあり方を考えたときに、今ある農地に縛られるという農業経営者にありがちな精神性から多少なりとも自由になってもらう材料になればと思う。

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