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江刺の稲

未来から逆算した今を考えよう

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第186回 2011年10月25日

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総務省によれば(平成23年9月15日現在推計)、高齢者人口(65歳以上の人口)が総人口に占める割合は23.3%。さらに、「人口の推移と将来人口」という推計では、9年後の2020年には29.2%が65歳以上になり、さらに34年後の2045年には40.5%が65歳以上になると予測している。

総務省によれば(平成23年9月15日現在推計)、高齢者人口(65歳以上の人口)が総人口に占める割合は23.3%。さらに、「人口の推移と将来人口」という推計では、9年後の2020年には29.2%が65歳以上になり、さらに34年後の2045年には40.5%が65歳以上になると予測している。

一方、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では、日本人の「1日1人あたりカロリー摂取量」は減反政策の始まった1971年の2287kcalをピークに下がり続け、2004年で終戦翌年の1946年と同じ1903kcalまで下がり、さらに2009年には1867kcalと、終戦直後をはるかに下回るレベルになっている。

そんな日本人の食の変化、国民が生き延びるために食料を求めていた時代から過剰栄養による病理が広がり、さらには社会的中毒症状とも言えるダイエット志向が広がる時代になっても、相変わらず欠乏の論理に基づく農業政策を求めているのが農業界である。本誌がカロリーベースの食料自給率向上の必要を声高に叫ぶ議論や政策を批判するのもそれゆえである。

日本人の摂取カロリー低下の中身をさらに細かく見ると、未来のわが国の農産物マーケットが想像できる。世代別に摂取カロリーを見ると、50代(1964)、60代(1956)よりも20代(1883)、30代(1863)、40代(1894)の方がカロリー摂取量は少ない。この傾向は女性においてはさらに顕著であり、50代の女性の1771kcalに対して20代の女性では1652kcalと119kcalも少ない。彼女らのダイエット志向が反映されている。彼女らはカロリーを得ること以上にやせるためにお金を使う。すでにそんな時代なのであり、彼ら若年世代が今後の食マーケットをリードするのである。

また、50代以上は炭水化物からのカロリー摂取が多く、40代以下は脂肪由来のカロリー比率が高い。穀類=コメの消費がさらに減るということだ。それだけではない、野菜類の1日あたり摂取量も60代では360.7gあるのに対して50代で308.9g、40代では253.9g、20代に至っては249.7gにすぎないのである。

おおよそ40代を境にして日本人の食習慣が変化していることが見て取れる。40代の生まれた時代を思い出してみればよい。東京オリンピックが開催されたのが1964年。64年生まれは今47歳。そして現在40歳の人とは減反政策が始まり日本人の摂取カロリーがピークに達した71年生まれである。

東京オリンピック以降に生まれた世代は「新人類」と呼ばれたが、まさにその世代は、日本が経済成長を果たし、実体験としての飢えの経験がないことはもとより親世代も積極的に食習慣を変えていった時代だ。

生活習慣病という問題はあっても食習慣の変化は確実に日本人の平均寿命を延ばし体位も向上させた。食料自給率低下の原因である食習慣の変化は望ましい変化だったのだ。

食あるいは現代人が農業・農村に求めるものが変化しているにもかかわらず、農業界はなにを寝とぼけているのだろうか。TPPなどの農産物自由化に関する議論も、その関税レベルになるには最長10年間の猶予期間がある。そんな将来の関税率を今現在の問題であるかのごとくに不安がるよりも、10年後のマーケットニーズや農村社会の変化を想定した、未来から逆算する農業の現在を考えればいいのだ。

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