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【土門「辛」聞】
汝の友、米国・通商外交の底意を知れ!今も昔も米国は変わらない
- 土門剛
- 第86回 2011年10月25日
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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加問題が、にわかに新聞紙上を賑わすことになった9月下旬、霞が関で通商交渉を担当する知人からこんな話を耳にはさんだ。
「韓国は、米韓FTA協定でずいぶんとサイドレターで取られてるみたいですよ」
最初は、何のことか分からなかった。それよりも米韓FTA協定では、米国を相手に好条件を引き出していたと思い込んでいた。コメを関税ゼロの例外品目にさせたことである。そのことで韓国はTPP交渉に参加しないものと思い込んでいたが、そうではなかったのである。
グーグルで、「米韓FTA」と検索して、いきなり上位に出てきたのが、「米韓FTAに盛られた『毒素条項』」というサイトである。いくつかバージョンがあるが、どれも同じような内容である。
出所が確認できそうということで韓国民主労働党が作ったといわれる「韓米FTA毒素条項12種完ぺき整理」版を紹介してみる。
(1)ラチェット条項
(2)金融および資本市場の完全開放
(3)知的財産権直接規制条項
(4)スナップバック条項
(5)サービス市場のネガティブ方式開放
(6)未来最恵国待遇条項
(7)投資家―国家提訴権(ISD)
(8)非違反提訴
(9)政府の立証責任
(10)間接受け入れによる損失補償
(11)サービス非設立権認定
(12)公企業完全民営化・外国人所有持分制限撤廃
いずれも交渉で交わされるような英語の専門用語を直訳したみたいな表現が並んでいる。
現代版「治外法権」か
米韓FTA交渉は2006年にスタートした。最初の交渉は07年に妥結。そして追加交渉が昨年12月3日に妥結している。最初の交渉で韓国はコメ例外措置を勝ち取っている。「毒素条項」なるものは、追加交渉でのもので、米国がワンサイド・ゲームで勝ったような交渉結果になったというのが、筆者の見解である。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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