ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

イベントレポート

誌上採録 『月刊農業経営者』シンポジウム 農業は日本のお荷物などではない 私たちはTPPを恐れない!(後編)


4つ目は国際競争力に関してです。米価のことをおっしゃいましたが、主食用で1kgあたり210~240円です。中国産で150円です。すでにそんなに差がないんですね。さらに増収によって現在の反収500kgを倍にすると、120~105円くらいまで下がってきます。ジャポニカ米でやれるだけの国際競争力があるんです。決して日本の農業は弱くはない、輸出をすべきです。ひとつはやっぱりコメで言えば、主食用が日本で1kgあたり210円くらいでしか売れていない今、中国では日本産米が1500~2000円で売られているわけですから。付加価値の高いものを中国などに売っていくのが、輸出の仕方によるだろうと。そして、飼料米水準であれば40円くらいのコメも作れるわけです。2~3千万tある国際市場に向けてコメ戦略を組んでいくと、日本の稲作構造、稲作構造を大々的に変革する機動力になってくるでしょう。以上、4点を考えてみますと、TPPをきっかけに、日本の農業が経営者を中心として農村社会をWin?Winの構造にできるというだろうと思うんですね。


TPPが実現するまで農業経営者に必要なもの

昆 最後に、TPP参加にあたって農家にセーフティネットが、パネラーの皆さんというよりは、農家一般に対して本当に必要なのかどうかをお話しいただけますか。

阿部 政策とかですね制度資金とかよりも重要なのがネットワークを広げていくことです。今日本で生活している方々との農家とのネットワーク、関係している農業を支えてくれている企業とのネットワーク。個人的なネットワーク……。そういったものをもっともっと広げていかなくてはならない。これがこれから地域の中で農業が生き残っていくには必要だと思います。安い外米が入ってきたとしても、支持してもらう、農業を理解してもらい、農家が再生産し続けられるネットワークをまずは築き上げる必要があると思います。

片岡 私は多少なりとは必要だと言う思いがあります。耕作放棄地を借りても、相当な資材を投入しないと農作物が収穫できない状況があります。日本の農地の場合、ほとんどがそうです。そういった改善をうながすための金融面でのセーフティネットが必要だと思います。

宮治 多分セーフティネットとか言う言葉が良くないですね。そんな言葉を使うから、「農家は助けてもらえるのか?」となってしまう。やはり優秀な経営者が地域に1人いて、さらに人材の雇用をすることがセーフティネットにつながってくるのではないかな?と思うんですね。全国の農業経営者の方から話を聞くと、だいたい皆さんの経営上の課題は共通していて、マネージャー層がいないと言います。地域の農業経営者さんは篤農家さんと言いますが、地域からの信頼は絶大で、土地が集まってくるそうですね。頼むから俺にはできないからやってくれと、集まってくるし、従業員も集まってくると、ただ、年間作付け計画から5~6人くらいを取りまとめるマネージャー層がいないことで、皆さん規模の拡大したくってもできないジレンマがあるそうです。そういった農家の方々をマネージャー層として雇用できれば、それがセーフティネットになっていくんじゃないかと思いました。

関連記事

powered by weblio