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“被曝農業時代”を生きぬく

「ヒマワリに除染効果なし」(農水省)のウソ?ホント?旧ソ連、事故後のヒマワリ大増産、ホントの理由を明かす



分子も恣意的だ。2000分の一の前提とした数値は、茎葉のもの(52bq/kg)で、根の値(148bq)を含んでいない。両者を合計すれば、結果は4倍になる。ヒマワリでは根にセシウムが集まりやすいことは、各種論文でも明らかなのに、その点について言及していない。
 そもそも、吸収量は土質や土中カリウム濃度、栽植密度などの前提条件によって、大きく変動する。何百倍も違うことがある。無カリ区が設定されたとはいえ、播種された土壌中に含まれる実際のカリ量は公表されていない。

 発表時期も恣意的だ。開花時の数値で、実際に原料用や食用に使う種子への移行濃度について触れていない。もちろん、開花時のデータとは書いてあるが、期待が集まる中、中間報告ではなく最終結果をきちんと発表するのが筋だろう。ただ研究者の立場からは、大臣らが持たせた世間の過度な期待がこれ以上広がらないために、故意に早期発表したというとらえ方もできる。


チェルノブイリ、ヒマワリ除染の神話

 でもなぜ、ヒマワリへの除染効果への期待が原発事故直後から一気に高まったのか。「チェルノブイリ事故の際に効果があったというのは常識」(南相馬市で仲間と農地60ヘクタールにヒマワリを植えた渡部有三氏・産経新聞)といった見解が流布していたのはたしかだ。

 ひとつは「ヒマワリ国際プロジェクト」が一定の評価を得たと報じられていたことがあげられる。これは、調べてみると農地での除染目的ではない。チェルノブイリ原発近くの池から汚染水に含まれるセシウムとストロンチウムを吸い上げる実験であった。

 このプロジェクトで判明したのは、ヒマワリが汚染水の除染で経済的に優れている点だ。ただ、低濃度汚染であればという条件下では、法外な値段のするセシウム除去装置を使うよりましといった程度の評価だった。根張りのよいヒマワリは、根の表面積の大きさから、吸収特性を発揮できるというだけだ。稲でも同様の結果がおそらくでるだろう。いずれにせよ、プロジェクトは大きな成果は出せなかった。低濃度の除染であっても、池に何千、何万本のヒマワリを水耕しなくてはならない。これを毎年繰り返さなければならないし、吸収したセシウムは当然、消えるわけではない。要するに、現実的な除染技術ではなかったのだ。

 同プロジェクトでは、せっかく池を除染しても、池周辺の土地からセシウムが飛散して、水中の濃度が再び上がってしまうこともわかった。その際、周辺土壌の除染に作付されたのはヒマワリではなかった。より吸収率の高いカラシナであった(出典2)。除染効果だけでいえば、アマランサス類のほうがカラシナより高く、ヒマワリの10倍優れているという論文もある。

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