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【北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信】
宮井的日本のこれから、農業のこれから
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 第42回 2011年10月25日
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「離農奨励金で規模拡大!」。実にセンセーショナルな見出しだ。読売新聞9月13日、14日付にその詳細が書かれている。実に大胆で頼もしい内容である。日本の農林水産省もやっとマック嫌いのスローフード、なにがしが言っている「小さな農家を守る」なんてことを実現していたら、アングロ・サクソン諸国のみならず、近隣諸国からも日本の資産と、清く正しく生きている大和民族の魂の周りに付いている、穴の毛まで持って行かれるかもしれない恐怖プレーにおののいたのであろうか。
整理してみよう。もし来年度の予算に反映されるのであれば、今後5年間で平均2haから20~30haに拡大させる。今回の目玉である出し手(売り手)にも新設の交付金と農地の売却益などを得る。とある。
ではこのような交付金は誰の判断で行われるのであろうか? 答えは実質農協と考えられるが、今回は建前上の機関である農業委員会のあり方を検証してみましょう。
農業委員会は農地の売買など利用関係の調整機関で、ほとんどが選挙により農業生産者等が委員となって事務を執行すると、まさしく民主主義社会のお手本でもある。が、しかし現実は、長沼のように農業委員会の下部組織で、法律で認められた集落単位の農用地利用改善団体が「あの土地はあれに、この土地はあっちに」となる。過去の例を挙げてみよう。ある農家が5ha売ることになり、譲渡取得税などのメリットがある地域の農用地利用改善団体に話が持ち込まれる。売り手の案件がこの団体に持ち込まれると、誰に売りたいのか、いくらで売りたいのか、すべてやはりこの団体のみの決定で行われる威厳高き組織でもある。その後、地域に連絡が回り、購入したい生産者が数名集まる。あるものは現在60ha規模、あるものは20ha、あるものは35haである。絶対条件ではないが過去の習わしに従い、農地の隣接者、“班”と呼ばれる集落の小集落、若い生産者の優先順位が高い様だが、最近はその若い生産者が少なくなったこともあり、購入希望者の面積で決まるようである。それは現在60haの生産者よりも35haの者であり、現実はより少ない面積の20haの生産者がその5haを購入できる。つまりよほどの理由がなければ「どうぞ、宮井様」なんてことにはならない。
実におかしな話である、20haの生産者は何年かけて100ha超えの大規模農家になれるのか? 私に集積したほうが効率の良い農業をできるのは火を見るよりも明らかなことである。小さな農家が集まり効率の良い農業はできない。大規模農家のみがより大規模になれる能力を持ち合わせているのだ。
私の地域の農地の値段は400万円/haを下回ることはないが、隣の大規模農家がいない地域は50万円ほど安く、水田に力を入れていた地域はさらに50万円ほど安い。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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