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ナガイモ 供給源がもたらした暴騰相場 早くも中国産へシフトの動き
【概況】
東京市場でのナガイモ入荷は、最需要期の 12月に1000トンを超えるがその他の月は800~900t前後で推移する周年需要型の野菜である。単価も300~350円前後と安定している。冷蔵技術の発達で出荷調整ができるようになったために、出荷量、価格共に安定した。しかし、これが経年の推移でみると、非常に不安定な動きをしている。平成2年のバブル最後の年には1万1干tの入荷で牛口単価も323円と好調たったために、平成3年には入荷が2割近く増えてキロ200円を割る暴落。翌4年には2年並みまで減ったがキ口単価は250円程度までしか上がらず、平成5年にはさらに2割以上減ったため、キロ450円とハネだ。この基調が6年の10月まで続いたために、6年の年間平均単価は524円という暴騰症状になった。
【背景】
天候異変などの影響だとはいえ、ナガイモがキロ500円以上しては、ヤマトイモ並みの価格である。せいぜい300円か上限である。別にナガイモ消費が下向きになっている訳でもないのに、昨年は過去5年では最高たった平成3年の35%も入荷が減っていれば、それだけ価格は高騰する。その高騰ぶりも2.6倍となれば、それだけ強い基本的需要があることを証明している。それだけに怖いのは、久し振りに高値を喜ぶ国内産地を尻目に、輸入が増える余地が生まれているということだ。昨年の場合は、中国産が64tほど入荷したが、単価はせいぜい200円。だが、安心してはいけない。中国のナガイモ生産はよく、粘質で甘味も強い。ただ形状が悪く単価がついてこないだけだ。
【今年の対応】
こうした入荷推移を受けて中国産を手当てしようとしている商社や量販店が目立っている。貯蔵性が高いだけに主に市場外流通して、流通の表面に出てこないだけに、厄介なのだ。いたずらに市況をコントロールして“有利販売”をしているつもりが、結局は輸入の促進を誘導して、産地が自らの首を締めかねない。ナガイモに限らないが、今年に異常な単価が出たら来年には輸入が激増するという新しい ルール が出来上がっている。適正価格で安定出荷すること、これが結局、国産を守ることになる。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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