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新・農業経営者ルポ

大分の大地に足をつけ日本を変革する国士。


 余談ですが、今の『子ども手当て』政策も無駄じゃないですか。お金ではなく、国が余ってるコメを全部買い上げて、各家庭に現物支給したらいいというのがボクの持論なんです。コメは消費されるわ、農地は守られるわで、すごくいい循環ができると思うんですけどね」


この地域を守れるならば大企業への身売りも厭わぬ

 順調に成長している西日本農業社の経営だが、後藤がどんなに崇高な大志を抱こうとも、すでに個人の能力では限界にきていることに気づく。かといって今のやり方のままでは、国や農協は頼りにならない。そこで後藤が打って出た手段が、企業との連携だった。

 創業当初から西日本農業社の経営は米麦が中心だ。だが、これだけでは作業期間が限られる。社員の雇用を維持するために、周年収穫できる農作物を探していた後藤は、(株)果実堂(本社・熊本県西原村)が大分県内でベビーリーフの生産拠点を作りたいらしいという情報を得た。同社は有機栽培ベビーリーフの生産・販売大手で、経営戦略として有力生産者との提携を模索していた。しかし、有機栽培という特性上、小規模経営の農家が多く、大規模栽培による価格抑制が至上命題としてあった。一方で、臼杵市は次世代の地域農業を有機栽培の拠点にするべく様ざまな施策を行なっていた。

 そんな彼らのプランと臼杵市の思惑をも理解した後藤は、井出博之・果実堂会長とコンタクトをとり、生産協力を申し出た。じつは後藤は、彼が大学院在学中に井出会長と出逢っており、ふたりには浅からぬ縁があったのだった。

 2009年、果実堂の出資で、後藤はベビーリーフの生産・販売会社である(株)コディゴロ(欧文表記ではcodigoro)を設立した。「○○ファーム」などのありきたりな名前では陳腐すぎると、イタリア留学時に世話になった街の名前を拝借した。取引先は県内のほか、20%が福岡県のホテルやレストランで占められ、パックごとそのままサラダで使えるので好評だ。売り先の開拓に困っている近所の有機農家からパプリカなどの野菜を集荷し、レストランへベビーリーフと一緒に納品するケースも増えている。

 さらに昨年から、新たに大企業との接点が生まれた。自動車部品を筆頭に、空調機器、太陽熱利用機器メーカー大手として知られる、矢崎総業(株)グループとの出逢いである。

 同社グループは、日本国内に多くの支社、関連会社、工場を有している。地域社会に密着した経営を信条としてきたが、生産拠点が海外へシフトされてゆく流れの中で、母体が磐石なうちに新事業を立ち上げ、行き場を失いつつある従業員たちの雇用先を確保しようと動き始めている。そのひとつとして農業分野の進出に乗り出そうとしており、ビジネスパートナーとしての農業経営者を探す過程の中で、後藤と巡り逢った。

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