ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土門「辛」聞

国や主権を超えたTPP交渉 問われるは自由貿易のあり方か

環太平洋経済連携協定(以下、TPP)交渉も、普天間基地問題と同じように見えてくる――。これをフランス語では「デジャヴュ」と言うそうだ。日本語で、既視感。最初は基地移転は「最低でも県外」と大見得を切り、最後は何もできずに公約は宙ぶらりん。確たる戦略がないのも普天間と瓜二つ。交渉に参加もできず、また参加できても妥結もできず、はたまた妥結しても国会に批准もしてもらえないという無様な結末が早くも脳裏をよぎるのである。
 環太平洋経済連携協定(以下、TPP)交渉も、普天間基地問題と同じように見えてくる――。これをフランス語では「デジャヴュ」と言うそうだ。日本語で、既視感。最初は基地移転は「最低でも県外」と大見得を切り、最後は何もできずに公約は宙ぶらりん。確たる戦略がないのも普天間と瓜二つ。交渉に参加もできず、また参加できても妥結もできず、はたまた妥結しても国会に批准もしてもらえないという無様な結末が早くも脳裏をよぎるのである。

 TPP交渉への参加の正式表明は、11月13日、ホノルルでのアジア太平洋経済協力会議(以下、APEC)の首脳会議の場。出発前夜、野田佳彦首相は記者会見で、このような抱負を語っていた。

 「さらなる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経たうえで、あくまで国益の視点に立ってTPPについての結論を得ていくこととしたい」

 参加に積極的な財界サイドは、「交渉参加を決定したことを歓迎する。総理の決断に敬意を表したい」と米倉弘昌経団連会長名の談話で勝利宣言。一方の慎重派の農業団体は、全中の万歳章会長が「参加表明だと解釈している。阻止できなかったことが残念だ」と敗北宣言。

 鹿野道彦農水相と山田正彦前農水相のコメントは、ちょっといただけない。首相の参加表明会見の直後に、鹿野農水相が、「首相は参加表明とは言っていない。今までの情報収集から一歩進んで、協議をするということで、交渉参加を前提とするものではないと理解している」(読売新聞)、山田前農水相が「ほっとした。交渉参加表明でなく、事前協議(の表明)にとどまった」(時事通信)と語ったのだ。

 これには政権与党である国民新党の下地幹郎幹事長からも、「あいまいな政治的な用語を用いて、交渉参加ではないかのような発言をすることは国民の信頼を損なう」(毎日新聞)と厳しい批判を受けた。

 賛否両論が渦巻く中、国民からは情報開示が十分でないという批判が相次ぎ、翌日の朝日新聞山口版が、「TPP『情報不足』 割れる賛否」と題して、山口県商工会連合会の幹部の「情報が不足していて現段階では賛否を示せない」という談話や、 山口中央会の幹部の「交渉してみないとわからない、では困る。説明や情報が少なく、国民的議論が尽くされていない」というコメントを紹介した。

関連記事

powered by weblio