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特集

農家のための倉庫と事務所

 すべての情報が1ヵ所の事務所にそろっていれば仕事がはかどるし、“調べものをしようと思いついた→億劫なので一旦保留→そのうちに忘れてしまった”ということもない。朝圃場に出るにも、家に帰るにも必ずここを経由する習慣を身につけるだけで、それらの情報を自然に更新し利用できるようにもなるだろう。情報が必要になったときになってわざわざ集めるというしくみには無駄がある。

 自分の圃場のこと、機械・道具類の情報、市況、世間の情勢など、どんなことでも事務所へ行けば大概のことはわかるという状態になるように心がけていれば、逆に自分が把握していないことはなにかということもわかる。戦略的に情報を集めようとする姿勢(わざわざする行動ではない)は、そうした心がけの中から生まれてくるものだ。

 ミーティングなども情報収集、整理、利用と考えれば、これを行なう場所もこのスペースとなるだろう。

 またとくに雇用がある場合は、朝の集合場所(出勤する場所)を事務所にするといい。それが経営者の自宅であると、出勤することが即ち経営者のプライバシーに(毎日)触れることになる。これは経営者自身が自分のプライベートと折り合いをつけながら仕事を進めるのとはまた違った意味で、非常にやりにくい。

 働き手のプライドを守るためにも、この点には配慮したい。もしも「○○さんのところへ奉公に行っている」という雰囲気になってしまっていれば、自分の職業に誇りを持つことが難しくなりはしないか。「○○君はうちの家族も同然だ」という親愛の情の表明さえ、人によっては重荷であることもあり得る。

 (3)は2つの事柄を含む。1つは、自分か行なっている事業を対外的にわかりやすくしめすということだ。自分が社会につながる接点を建物の形で確保し、自分かちの態度や行為を社会的に認知されやすくする。(2)のような事務所があれば、外部の人間にも農業者の仕事の内容がわかりやすくなる。それは事務所にあるものをすべて外部に対してオープンにするという意味ではない。来訪者が事務所に通されれば、農業者が単に作物を作っている生産者であるだけでなく、それをどう売るかまで考えている事業者でもあるということが空気として伝わる。そうしたちょっとしたことが取引上の、また金融上の信用にもつながっていく。

 来訪者を自宅の縁側、あるいは居間なり応接間に通したとしたらどうであろうか。(1)にも関連するが、ものを買いにきた人も売りにきた人も、相手は”家”であって“事業体”とは感じにくいのではないか。そうなると、こちらを経営者と見てもらうことが難しくなる。あるいは若い人の中には“農業者を訪ねること=プライバシーに触れること”と感じて足を運びにくい、という人もいるはずだ。

 もちろん圃場で会うということもあるだろう。しかし圃場でしかできない話もあれば、腰を落ち着けてじっくり話すべき話もある。また相手に圃場を訪ねさせるということは、忙しいところを邪魔するという気遣いをさせることにもなる。

 これらを考えると、この事務所には応接のための設備も必要である。それはなにもソファ、テーブル、高価な灰皿といったものである必要はない。ホームセンターで手に入るテーブルとパイプ椅子でもいいだろうし、趣味を生かすということであれば手作りもいい。要は日常のミーティングや応接の際に、全員の座席が確保できることである。

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