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柴田 よくぞ聞いてくれました。ライムソワーには下の方にブリッジを作らせないためのアジテータ(攪拌装置)が付いていますが、ホッパーの上の方にもう一本アジテータを加えたのです。ホッパーの外側に駆動系も付けて。
昆 単肥配合した比重の違う肥料でも具合良く混じりながら散布できるわけだ。でも、その目的ならミキシングブロードキャスタという機械があり、その方が能率も上がるのだと思いますが。
柴田 昆さんらしくないな。我が家には年代物だけどライムソワーがある。それをどう活かすかの方が大事じゃないですか?
昆 まったくだ。経営あるいは機械化にとって肝心なことは「最高」より「最適」を選ぶということなんだよね。だから、ライムソワーを改造する。まさにここに柴田さんの経営思想が現れているわけで、柴田さんは単なる機械オタクじゃないんだよね。そして、前回お邪魔して感動した、赤シソ用の砕土・マルチ・播種の複合作業機。あれはすごい。
苦労して作り上げた機械から新しい技術体系に挑戦する
柴田 赤ジソの種まき機なんですが、いくつかの仕事を同時にやります。元の機械は野菜の汎用作業機のマルチャーで、大改造しました。まずアグリテクノ矢崎のクリーンシーダ4ユニットで播種し、その後に黒マルチを敷くのですが、播種した種の上にトイレットペーパーを被覆し、続いて黒マルチをかぶせる。
昆 トイレットペーパーを被せるのは水分を安定させて発芽率を向上させる配慮ですね。それに使うトイレットペーパーを見つけるのにも苦労されたとか。
柴田 長いトイレットペーパーを探すのにね。長さ211mのものを見つけました。それを大量に買ったのですが、使わなくなったので、我が家には一生分のトイレットペーパーがあるかもしれません、ガハハ。
昆 マルチは条間に土を入れてバタつかないようにしてある。
柴田 黒マルチをかぶせた両隅をマルチャーで抑えて、その中間3列には土を置いていく。マルチャーの前に逆転ロータリを付けたコンベアがあり、播種した間の土を逆転ロータリではね上げ、3列の土をマルチの上に千鳥にパコンパコンと落としていく。これを作るには死ぬほど時間がかかりました。幅の広い赤シソのマルチの場合、両隅を抑えただけだと播種時期の春先は風で煽られるんです。それを抑えるために女の人たちに土を載せてもらっていたのですが、その当時7町歩くらいやっていて、これが大変な距離になるので、可哀そうでした。
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柴田隆夫 シバタタカオ
柴田農園
1959年、愛知県豊橋市生まれ。愛知県立安城農林高校を卒業後、愛知県立農業大学校入学。一時期は日本共産党へ入党し、22歳まで地元でオルグ活動に取り組む。離党後、ゲーム機とコインロッカーのレンタルビジネスを始め、また会社員を経験。1994年、本格的に就農する。以後、アイデアを活かして自作の農機具を次々と開発し、地元の新聞やテレビなどにも取り上げられたことも。現在8haの圃場で夏は赤シソ、冬はキャベツとハクサイを中心に露地栽培。赤シソは加工業者に、キャベツは契約栽培で大手小売業者中心に出荷。年商4,000万円以上。
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