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昆 そんなことやる奴がいるなんて彼らも思っていませんよ。もとより、あなたの自己責任でやっていることだから。むしろ、まともな機械メーカーの技術者だったら、あなたの努力を聞いてきっと感動すると思いますよ。若い機械技術者の最も素晴らしい教育者になると思う。そしたら、開発のための知恵や資材も手に入りやすくなるかもしれない。思い出したのだけど、日本のビートの移植機というのはすごく進化しているのだけど、あれは参考になるかもしれません。今度紹介するね。
柴田 ありがとうございます。でも、そんな風に恵まれてしまうとポンコツ屋に行く楽しみが奪われてしまうかもしれない、ガハハ。
外からアイディアを持ち込み技術や知恵で農業に活かす
昆 でも、何といっても圧巻は赤シソの全自動ハーベスタの開発です。
柴田 これがシソ刈り2号と呼んでるやつです。シソの収穫機なんですが、全自動です。メーカー品は刈り取り部に使っている中古のお茶用可搬型摘採機だけ。エンジンもブロワーもポンコツ屋で探してきたもの。機械の構造を考え、フレームから全部手作りしました。その頃は家に溶接の機械がなかったので半年間くらい取引のある農機具屋さんに入り浸り。毎日、朝8時過ぎまでに農場での朝の指示をして、そのまま9時には「おはようございます」って農機具屋さんに行く。まるで社員のように毎日通って、社員が帰ってもまだやり続けてました。夜大体9時くらいになるとさすがにこれじゃまずいなと思って帰るという日々。それで作ったのがこの機械です。まったくお金のない時代だったので、もうとにかく知恵と時間を使ってなんとか乗用で自動収穫ができないかというので頑張ったわけです。
昆 全自動タイプと言っても、刈り取ったシソの葉を風力で収葉バッグに飛ばす。素人がポンコツ屋の材料で作る技ではないですよ。
柴田 良く言ってくれました。取材を受けても昆さんのように問題点や難しさを理解して突っ込んでくれないと、僕も面白くないんですよね。刈り取ったシソの葉が飛んでいくメカニズム、ビニールの風洞の中を湿った葉が通って行くわけですから、ひっついちゃったり、塊ができたり、それは苦労しました。針金で風洞の構造を作ってそれにビニールを張り、さらに、ほらこのタコ糸。これで風洞の形状を安定させているのです。それで、フレコンに葉を貯めてクレーンでトラックに移す。
昆 感動するほどすごい。でも、きついことを言うようですが、これで実用化したのですか?
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柴田隆夫 シバタタカオ
柴田農園
1959年、愛知県豊橋市生まれ。愛知県立安城農林高校を卒業後、愛知県立農業大学校入学。一時期は日本共産党へ入党し、22歳まで地元でオルグ活動に取り組む。離党後、ゲーム機とコインロッカーのレンタルビジネスを始め、また会社員を経験。1994年、本格的に就農する。以後、アイデアを活かして自作の農機具を次々と開発し、地元の新聞やテレビなどにも取り上げられたことも。現在8haの圃場で夏は赤シソ、冬はキャベツとハクサイを中心に露地栽培。赤シソは加工業者に、キャベツは契約栽培で大手小売業者中心に出荷。年商4,000万円以上。
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