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【特集】
農業機械カタログの読み方 作業機編
- 今井正信
- 1995年10月01日
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1 コンバイン
(1)農作業上の位置、意味、役割等
主要穀物栽培の機械化計画上、収穫作業は各種農作業中、強度も量的にも最も大きく、また作業時期や収穫機の性能が直接収益につながる重要性を持つ。コンバインは収穫作業の能率化、省力化で経営の大規模化を可能にし、さらに収穫適期の把握を容易にして収穫物の質、量ともにその向上を果たし得る。また、この一機種によって刈り取り、脱穀、選別、袋詰め、排藁処理までの諸作業を完結し、しかも数ある農機中でも最も複雑な多くの機能の自動化を遂げるなど、いわゆる「完全収穫機」の名に相応しいといえよう。
(2)カタログ記載の仕様の認識
【A、導入機の大きさ】
作物を考慮して自脱形と普通形があるが、一応、刈り幅と作業速度によって、単位面積当たり所要時間、または単位時間当たり面積に作業率や安全率をかけた数値を基準として考え、現地圃場や立毛状態の適否を条件に負担面積を考慮する。さらに耕種計画により作物の種類、何毛作、作業時期の重複、オペレータの配分、乾燥調整側の受け入れ態勢との関連まで、下式を参考に綿密な検討を必要とする。
【B、諸性能のチェック】
一般に、水稲の場合、普通形は穀粒損失5~7%、損傷粒2~ 9%(作業速度0・2~0・4m/秒の場合)で、自脱形よりやや劣るが、小麦収穫時は損失5%以下、損傷2%以下 (0・4~1・2m/秒の時)のように本来優れた機能をもつ。次に作業可能な速度範囲が広く示されていても速度の上昇とともに負の傾向が急増する。刈り高さの数値は5から30cmへと高めると損失は減るが、作物条件によって穂切れが増す。多収性の水田では藁量が多いため損失も増えるので、刈り高さをやや高めに、作業は低速となるので、能率の数字の見方は控え目に配慮する。
対倒伏性に関しては、地上すれすれの刈り高さとせざるを得ないので、低くできる側の数値を確かめる。雨露による濡れ状態への対策は設計の配慮が充分か確かめる。例えばコンケーブ網や二番還元装置、扱ぎ室と処理胴を独立させるなどの対応の有無。粒径別に対するセンサー感度の微調整機能の有無。またリール、セパレータ、刈り取りへッドなどの調整方式、低位刈りの必要時に応えるへッドポジション制御の自動フロート式等の有無などにも注目する。さらに足回りは車輪形かクローラ形かなどのほか、地上条件不良時に応ずる補強アタッチの種類等も確かめる。
(3)その他
コンバインは他の農機に比べて、構造が複雑で大形も多く高価でもあり、導入や比較に当たっては将来の変化も頭に置いた経営規模、作物、地域の機械化程度、利用形態なども考慮して推進する必要がある。なお、機械の持つ機能は合理的な自動化がどの程度実施されているのか、細かくは便利なパーツが標準装備かオプションかなどまでチェックするほどの、疎漏のない目配りが必要であろう。
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今井正信
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