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編集長インタビュー

数年後には圃場面積200ha 親子で地域の経営に挑戦する

千葉県柏市、国道を走って市役所を過ぎると一面に水田が広がる。東武東上線の沿線という都市近郊に立地しているが、田舎の風景だ。「土地を集積するのが困難だ」「耕作放棄地の復活は大変だ」という声に83haでコメと麦を作っている親子は「やります」と答える。毎年面積が増えている(有)沼南ファームの橋本茂氏、息子の英介氏に、現在抱えている問題と将来の展望について語っていただいた。

社長と従業員の役割分担 家族で会社を運営する 

昆吉則(本誌編集長) 橋本英介さんには2011年1月に弊社が主催したTPPに関するシンポジウム(弊誌10・11月号に採録を掲載)にご登壇いただきました。 稲作農家の立場で明確にTPP参加が我が国の農業改革にとってのチャンスであるという農業への熱い思いを話していただきました。あの時は英介さんと話す時間の方が長くて、ご一緒にいらしたお父様には失礼したのですが、その時、橋本親子の考え方に一貫したものを感じました。親子がお互いに理解していてうまく役割あ分担をしているという意味でも注目していました。

橋本茂(父) そうですね。うちはそんなに意見が食い違わないですよ。私が大雑把なので、せがれが細かくやってくれますから。

昆 橋本家というか沼南ファームでは社長としての茂さんに明確な経営方針があり、一方、英介さんに意見がないというのではなく、社長の考えを理解した上で自らの役割を果たそうとしているのが見えるのです。

茂 この辺りのうちが関わっている200ha位の地域で30代の田んぼをやる後継者はせがれ一人しかいません。それ以外では一番若い農家が55歳。あとは年金農業ですよ。おじいちゃんとおばあちゃんがお金あるからトラクタを買えるんですね。ところが、サラリーマンやっている人たちは、自分のお金を持ち出してまで、田んぼやらないんで、あとこの5年くらいが過渡期になりますよ。数年後には、間違いなく沼南ファームがその200haを全て面倒見なければならなくなります。我が家の4人の従業員だけでなく地権者への責任を含めて、橋本家ではなく公的な企業としてその社会的責任を果たすだけですよ。もちろん、親子より社長を支える従業員としてよくやってくれてますよ。

昆 ところで、英介さんの就農というより沼南ファームへ就職したきっかけはどうなのですか。

英介 子供時代から父の姿を見ていて農業に対する可能性は感じていて、ゆくゆくは農業をやりたいと思っていました。野球生活を終えて家に戻ると、地域に農産物の直売所ができるから、流通の裏側を勉強しにイトーヨーカ堂でパートをして来いと言われたんです。それで、ヨーカ堂に2年くらいパートで勤めていました。ちゃんと沼南ファームでやり始めたのは30歳の時です。それで今、直売所に役員として参加して月の内10日間は直売所に出ています。ヨーカ堂での体験は直売所のことでなく経営を考える上でもとても勉強になりましたね。その体験を含めて、事業化された農業経営に挑戦することに凄い可能性を感じるし、今がチャンスだとも思います。良い時期に農業を始めたんじゃないかなと。

昆 厳しい事業管理のもとで目的意識を持って働いたのは、社会的責任を感じられる良い体験でしたね。ところで、お父さんの頃はどうだったのですか。

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