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イベントレポート

誌上採録 農研機構産学官連携・普及実用化フォーラム 「ゆめちから」を核とした国産小麦、米粉の新展開

11月28日に東京都港区で開催されたフォーラムの主役は、小麦の新品種「ゆめちから」。国産の小麦は主に薄力粉に加工され、うどんなど麺用に用いられるものが多いが、このゆめちからは超強力粉としてパン用加工特性に優れる。今秋の北海道での作付面積が1,000haと本格始動し、さらなる今後のマーケット拡大に意気込むのは、育種開発を手がけた農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の北海道農業研究センターだ。フォーラムの終盤、13名のパネリストが繰り広げた総合討議より一部内容を採録してお届けする。(取材・まとめ 加藤祐子)

■ 司会
山内宏昭氏/農研機構 北海道農業研究センター 研究調整役

■パネリスト
我孫子政之氏/お菓子のドルチェ・ヴィータ オーナーシェフ
佐久間良博氏/江別製粉(株) 常務取締役
勝部征矢氏/農事組合法人勝部農場 代表理事
根本力氏/敷島製パン(株) 取締役
金山紀久氏/帯広畜産大学 副学長
荒川伸夫氏/シロクマ北海食品(株) 代表取締役社長
薦田裕氏/ヒガシマル醤油(株) 取締役製造部長
福井敬康氏/全日本パン協同組合連合会 専務理事
杉山雅則氏/(株)満寿屋商店 代表取締役社長
原田昌博氏/日本パン技術研究所 研究調査部/教育事業部
前田茂雄氏/前田農産食品合資会社 専務取締役
米沢則寿氏/帯広市長

小麦粉の需要拡大を担うパン用小麦「ゆめちから」

山内宏昭(農研機構北農研・研究調整役) まず、農水省の食糧農業基本計画の中で平成32年度までに小麦粉の需要を現在の80万tから180万tに上げ、米粉を50万t伸ばすという計画が出ています。それぞれの専門的な視点からお聞かせください。

根本力(敷島製パン(株)・取締役) 本日の試食用の食パンは、「ゆめちから」を原料に使って、いわゆる手製造でなく工場で「超熟」と同じ製法で作りました。この商品がお客様に評価していただけるように価値が伝わる製品を作って、その価値をどうやって伝えていくか、というのが我われの使命だと思っています。最終的には価格の問題が非常に大きいと思いますが、国を動かすことになるのではないでしょうか。

勝部征矢(農事組合法人勝部農場・代表理事) 北海道の小麦の生産者という立場だけで話をさせていただきます。今年度から1000haということで、各市町村に約30haずつくらいの種が供給されています。その中で2つ心配な点があります。種をいただいた農家の方が、「これ本当に播いて、何ともないんですか」と非常に不安がってました。なぜそんなことが起きるかというと、中力粉と薄力粉の検査というのは、成分検査もしてますが、とりあえず外形検査が優先されるんです。ところがパン用の小麦というのは、頬が突っ張って、格好が悪くて、いかにも痩せています。成分検査をすると、非常に良い内容でも、現実では規格外にしちゃうというのが今までの流れです。農家の皆さんは、来年、どんな検査をしていただけるのかという心配をしています。どうかこの点は行政だとか検定業界の方に国産のパン用小麦を何とか普及させたいというお気持ちがあるのであれば、その辺を大きく開拓していただきたい。

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