ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

香辛ツマ物から昇格した野菜類 オオバ、ミョウガ、カイワレ、ハーブ類

かつて昭和50年代に野菜アイテムの差別化ブームが起き、スーパー間で激しい商品開発合戦が繰り広げられた。その開発対象は新品種や新品目、中国野菜類、西洋野菜類、ツマ物類など多岐にわたり、現れては消えていくものも多かったが、定番野菜に昇格したものも少なくない。例えば、ミニトマトやチンゲンサイ、オクラ、ズッキーニ、そしていくつかの香辛ツマ物類がそれである。ツマ物類は、単なる“飾り”というよりは、伝統的な食材として独特の個性と機能性を持ったものが多く、その普及拡大は単純な新規開発商材の枠を超え、ある種の必然性と意義があったように思う。

オオバ 25県から入荷のツマ物出世頭。軟らかさと香りを保持する技術を

【概況】

東京市場のオオバは、周年を通じて入荷されており、5月以降~8月に薬味需要の関係で年間のピークがある。年末にも正月商品としての需要があり、このときは異常に単価が高い。主産地は愛知でシェアが6割を超え、続く茨城とともに8割以上を誇る。野菜のなかで数量的にはベスト50にも入らないが、販売金額では25位くらいにつけており、小物商品ながら堂々と定番商材に定着している。

【背景】

オオバ(大葉)の名称は、ムラメ(シソの幼葉)など小さな芽物と区別する業界用語からそのまま浸透した。香辛ツマ物のなかでは出世頭だ。豊橋温室園芸組合を擁する愛知が依然としてトップ産地だが、ここ30年で全国各地に産地が形成され、今や東京市場に入荷する産地は25県を数えたほか、海外から中国産もある。それだけ需要が全国に拡大し、不可欠な食材になったことを意味する。そのため、地場供給産地が各地に誕生しているのである。

【今後の対応】

オオバの普及は、“飾り”から“食べ物”への昇格にあった。そして、普及拡大のけん引役になったのはやはり豊橋温室園芸組合の影響が大きい。まるでプラスチックのようだと評されたツマ物から、軟らかくて香りも良好という優れた野菜への脱皮を、いち早く手がけたのも同組合だ。品質保持のためのMA包装やピンホール一つないという検査基準の維持。市場出荷から直販まで販売戦略にも長けている。その姿勢には学ぶべき点が多い。

関連記事

powered by weblio