ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

新時代を切り開く 続・TPP後のわが農業



【日本の農家はコスト意識を持て】

 私の家は父の代まで小規模な耕地しか持たない零細コメ農家でした。農閑期は当たり前のように出稼ぎに出なくてはなりませんでしたし、それでも足りずに借金がどんどん膨らむような状態でした。私はそうした負の連鎖をなんとか断ち切るべく努力と工夫を重ねてきました。

 法人化後は「面白い農業、儲かる農業の追求」をテーマに掲げ、特に次の点に力を注いでいます。

 (1)品質競争に勝つ(2)コスト競争に勝つ(3)自己資本率50%以上の死守(4)徹底した経営分析5徹底した内部改革
この中でもコストについては、「コストミニマムの追求」を最大の目標にしています。施設園芸を始めるにあたっては、高価な鉄骨ハウスは1棟さえ建てず、すべて強度のあるパイプハウスにしました。豪雪地帯でありながら独自の当社融雪システムを活用するなど、固定費を通常の3分の1まで圧縮できました。燃料費は毎月入札で仕入れています。

 もちろん出荷は納品先、単価を決めてから生産しています。たとえ施設が空いていても納品先がないものは作りません。資材についてもメーカーと代理店契約するか、入札で仕入れています。また当社は、「品質こそが最大の営業」という言葉をモットーに、営業部門を廃止し、その分を品質向上に集約し、全品目95%以上の出荷率を死守するようにしています。

 しかし、これらのノウハウはすべて農業以外の製造業では当たり前に取り組んでいたことであり、私の経営に可能な限り導入すべく努力した結果です。このような取り組みをしていくと、経営って本当に面白いなぁとつくづく思います。恵まれた自然環境の中で、自分の描いた目標達成のために、家族や従業員の協力を得て、自分の土地と施設を持ち、自分の好きな花を栽培し利益を得、働いてくれる人々の生活まで保障する……、社長として事業を展開し続けられるこの仕事を。私は天職だと思っています。


【日本の果物・野菜は世界を驚かせる】

 TPPが私たち花き生産農家に及ぼす影響ですが、私はプラス・マイナス共にほぼ無いのではないかと考えています。というのも、現在でも花きの輸入には基本的に関税がかかっていませんので、TPPの影響で急に花きの輸入が増えるということは考えにくいわけです。一方、輸出についてですが、関税が撤廃される影響で多少の伸びは期待されますが、目に見えて輸出が拡大することはないだろうと思っています。理由としては、まずは日本の花きは価格が高いということ。もう一つは、海外で生産された花の多くは日本のものと遜色がないレベルに品質が良いということです。花の種類によってはむしろ海外のもののほうが良いことも往々にしてあります。コストについては関税撤廃で海外の安価な農業資材が手に入りやすくなるでしょうし、生産の効率化を進めれば今より下げることができると思います。しかし品質を劇的に上げるというのはのは現実的に難しい話です。たとえ関税が撤廃されても日本の花きが世界の市場で大きく競争力を増すということは考えにくいでしょう。

関連記事

powered by weblio