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【編集長インタビュー】
グローバリズムの中で光るのは日本人の持つ多様な価値への適応力
- (株)オフィス2020新社 『2020VALUE CREATOR』主幹(流通ジャーナリスト) 緒方知行
- 第85回 2012年01月27日
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グローバリズムの中で光るのは日本人の持つ多様な価値への適応力
これまで工業分野で活躍していたのはトヨタやホンダ、ソニーだが、商業やサービス分野のトヨタ自販が海外で成功する時代が到来した。海外に出て行くもよし、お客様を呼び込んで商売をしてもよし。日本のサービス業、農業も含めた顧客本位の商売スタイルについて、「負ける、負ける」という発想が蔓延している日本社会を明るくする話を本誌でおなじみの流通ジャーナリスト・緒方知行氏に聞いた。(本インタビューは雑誌『2020VAVUE CREATOR』でも掲載予定)
全てのビジネスの大原則はマーケットに支持されること
昆吉則(本誌編集長) 緒方さんとはこれまでも何度かお話させていただいています。まさに今の時代であればこそ、「ダメだ」ではなく、チャンスの中にいるという自信を持つべきだという話を農業界にも商業界にも伝えたいのです。
緒方知行((株)VAVUE CREATOR社・編集主幹) そうですね。全てのビジネスは、農業も工業も医療も何であろうと、あらゆるものはマーケットが決めるんです。これは大原則です。だから、マーケットに支持されたものは、ちゃんとやっていけるのです。小さいところにはチャンスが来たと思っています。
昆 雑誌で拝見しましたが、カルフールやテスコが撤退しましたね。これらの外資の小売業が日本から撤退せざるを得ないことの意味から教えていただけますか。
緒方 これは、自ら招いた結果でしかないでしょう。日本には日本のマーケットがあって、日本人の持っている価値観や欲求にレベルがあり、それは文化とか歴史とか風土とか、色んな条件でつくられているものです。彼らはマーケットに根差した仕事をしようとする努力に欠けていた。だから、世界の5本の指に入ろうが世界一位であろうが、やはりマーケットに受け入れられなければ、どんな大きな企業でも撤退せざるを得なくなったというわけです。
昆 確かに海外の小売業などでは、頭の良い人間、あるいは力を持った人間が「これが合理的だ」といって大衆に押しつけるようなシステムがあります。その反面、日本では、いわゆるセレブという人たちに対してどんなわがままも聞いてあげるようなサービスがありますね。
緒方 ええ、でも日本の場合、多くは普通の人が行くようなところで、徹底したおもてなしをやりますよね。少なくとも今は、欧米に見られるような階級社会はありません。普通の人が享受しているようなレベルのサービスや物財の品質、おもてなしのクオリティー、こんな素晴らしいものを持っている国は、世界中の他にないでしょう。特殊な人向けではないので、海外にもそのまま持って行けるのです。
昆 そうですね。むしろグローバリズムの中でこそ光る日本の個性は、成長性があると思います。よく「ガラパゴス化」と言われますが、活かせるガラパゴスが山ほどあるのではないでしょうか。
緒方 そうです。世界中に「ガラパゴス的なマーケット」があるのならチャンスですよ。
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緒方知行
(株)オフィス2020新社
『2020VALUE CREATOR』主幹(流通ジャーナリスト)
1939年生まれ。64年(株)商業界に入社し、雑誌『販売革新』の編集長を14年間、そして同社が発行する5誌を統括する取締役編集局長と『商業界』編集長を兼任。82年独立し翌年『2020AIM』(2006年3月、創刊250号を迎えて『2020VALUE CREATOR』に誌名変更)を発刊。現在その主幹。43年に渡り、わが国の流通・商業の専門記者として、また専門誌編集者として一貫してこのスタディに取り組み、取材・執筆活動を続ける数少ない専門ジャーナリスト。また故郷・大分県で「豊の国商人塾」の塾頭(塾長は広瀬大分県知事)を務めており、次世代の商業・流通業人の育成活動にも力を入れている。著作に『鈴木敏文・商売の原点』『同・商売の創造』(講談社)、『セブン‐イレブンからヒット商品が生まれ続ける理由』(かんき出版)など45冊がある。
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