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編集長インタビュー

グローバリズムの中で光るのは日本人の持つ多様な価値への適応力

  • (株)オフィス2020新社 『2020VALUE CREATOR』主幹(流通ジャーナリスト) 緒方知行
  • 第85回 2012年01月27日

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昆 そうですね。ただ、農村の直売所はものすごくブームになっていますよね。あれは、大手の量販店があるから人気があるのですが、実はスーパーの価格を見て、それに合わせて自分の価格を決めるようなことを、いまだにやっているのですよ。

緒方 スーパーで売っているものと直売所で売っているものは、客の立場からすると違うんですよ。同じキャベツでも、キャベツという「モノ」ではなくて別の満足があるのです。 キャベツというモノを買うのであれば、それはスーパーで買った方がいい。直売所ではモノを越えた「満足」を買いに行っているのです。売っているものが違うから、競争にならないでしょう。だから、「売っているものは何か?」ということを考えればいいのですよ。生活起点にね。

昆 農家は、経営としての利益という主張をきちんと持てる人が極めて少ないのです。単価ばっかり見て、高い方が良いとか思っていたり。そんなレベルだと、お客さんがなぜこのお金を払ってくださるのか? その満足の価値に対しての価格という視点が、本当にないのです。だから、「あ、もっと高く売ればよかったわ」とか、「価格は自由に決められるから不幸になる」だとか、コスト計算ができないから決められないだけだということにもっと気づいていただきたいところです。

緒方 大事なことは「情報提供しながら、選択はあなたたちがやるのですよ、それが選択の自由なのですよ」ということだと、私は思います。

昆 そういう意味合いで、リスク管理が高いか低いかという話をしてきたわけですが、今回の震災の後の政府の対応というものは、国家のリスク管理というものを、根本的に信用させないような対応をしていますよね。悔しいけれど、色んな商売にとってマイナスになると思います。

緒方 しかし逆に言うと、私は、流通・商業は流通責任と供給責任とがあると思いますよ。生産者は零細で組合つくっても、放射能測定まではできません。大手の流通業やネットワークなら、自分たちでやろうと思えば、できるのですから「これは検査したものだから大丈夫です」と店頭でお客さんにメッセージを出せばいいのですよ。イトーヨーカドーなどが、メーカーとタイアップして「東北かけはしプロジェクト」を始めました。風評被害で悩んでいる東北の農水産畜産業の人たちに、販売の機会を我われが与えていかないといけないのです。

昆 どんなことをするのですか?

緒方 福島県・宮城県・岩手県の行政が関わっている3年計画の大規模なプロジェクトです。セブン&アイグループの全国の店頭で、東北の農業・水産・畜産、そしてそれらを原材料にした加工食品を積極的に売っていく。お客さんが疑っていては売りにくいので、責任を持って情報をちゃんと提供していく。

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