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土門「辛」聞

現物市場が加われば、コメ先物市場は鬼に金棒だ



 本来、先物市場は現物市場があって成り立つものだ。現時点で現物市場と言えるものは、株式会社日本農産情報か、各地の仲間相場のようなものである。

 やはり国がお墨付きを与えたれっきとした現物市場は必要だ。そこで筆者の提案がある。東京穀物取引所の商品設計を現物も扱えるように変えてみたらどうか。東京穀物取引所は、決済の期限(限月)を従来の1カ月、3カ月、6カ月、12カ月に、「1週間」を新たに付け加えることである。1週間の決済の期限は、ほぼ現物に近い感覚で取引できる。「現物の受け渡し」が多いというのは、マーケットからの真っ当な現物市場の復活コールかもしれない。

 東京穀物取引所の担当者の話に目から鱗が落ちる点があった。現物を取引所指定の倉庫に持ち込めば、倉荷証券が発行され、それが有価証券と同じ扱いになるということ。昔は、その倉荷証券で金融機関から運転資金を調達していたのである。

 次いで先物市場はリスクヘッジだけが売り物でなく、新たな販売先であることも分かった。1月20日付け日本経済新聞が、「コメ先物の取組高が最高 流動性向上は本物か」という記事を掲載していた。あまり深掘りした内容ではないが、記事の最後に「まだまだ本流の水量はない。せせらぎを小川、そして大河に育てていくには当業者を中心に豊富な水量を持つ新たな水源探しが欠かせない」という記述があった。豊富な水量、それは当業者が求める現物市場に近い期先、1週間という商品ではないだろうか。


先物市場復活コールは10年前から起きていた

 「人の行く裏に道あり花の山」――。この相場格言を20年以上も前に教えてくれた農業者がいる。秋田県大潟村のBさんである。翌年の作付け計画を立てる頃に、食糧事務所(現農政事務所)に足を運び、職員に「来年は、何を植えさせるのかい?」と情報収集する。職員が、「加工米です」と答えてきたら、「毎度、おおきに」と感謝の弁を述べ、翌年は主食用をフル生産していたという話を本人から聞いたことがある。

 旧食管法時代のエピソードと片付けてはいけない。新食糧法になった今でも、同じようなことはある。マーケットを見ることなく、農協や行政の作付け方針に身を委ねている生産者が意外と多いのである。その結果、「毎度、おおきに」の状況は今も健在である。新食糧法になって、流通の自由化は大幅に進展したが、生産現場はそれに沿った態勢にはなっていない。生産調整の問題は、未解決状態のままである。

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