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イベントレポート

北海道SRU設立20周年記念 特別座談会 独立系プロフェッショナル農家〜土壌研究組合〜SRUの真実 ドクター川辺と3人の弟子の物語



――なるほど。言語の問題だけでなくて、施肥について2つの違う常識があったんですね。

大野 そう。その違いをひとつずつ塗りつぶしていった。3年目に、作物が目に見えて変わってきたんです。収量も品質も上がってきて、特に、条件の悪い畑はてきめんでした。

――悪いほど変わる?

大野 そうです。いい畑って元々バランスがいいから、そんなにいじらなくてもいいんです。なんとか単肥や微量要素の調達先が確保できるようになって、悪い畑についてドクターの処方箋を忠実に実行するようになったのが大きいですね。

――どうやって土壌分析してもらうんですか。

大野 米国のドクターが研究員をしているラボに土壌サンプルを送って、その分析結果が豪州在住のドクターの元に届く、そしてドクターから各農家に処方箋が送られてくるという流れです。一人一人に、それも圃場一枚ずつに対してドクターがアドバイスを書いてくれるんです。

新村 見ますか? 

――へぇ~、ほんとだ。

大野 僕なんか2、30サンプル出すでしょ。全メンバーで1000サンプルぐらいあるんじゃない。

新村 いや、畑が50枚も100枚もある人もいるから、数千でも全然きかないんじゃないかな。畑をよくするための一枚一枚違う処方箋なんです。とにかくすごい数、すごい情熱ですよ。今では土壌学を勉強された娘さんや娘婿さんのサポートもありますが、それまでずっとドクターがお一人で対応していた。

――尾藤さん(大野氏と一緒に始めた設立メンバー)の最初の印象はどうでした?

尾藤 えっ~!という話でしたよ。施肥の考え方もそうだけど、コンサルというお付き合いの仕方も新鮮でしたね。日本だと肥料や資材を買えばアドバイスはタダで付いてくるのが慣習、今でもそうでしょ。でも、欧米の農家にとってはお金を出して農業コンサルを受けるのが常識らしい、とは薄々知っていた。それで、「どう思う?」「俺たちもやってみるか!」って話し合った気がするね。

大野 そうだったね。

尾藤 とにかく皆でお金を出そうって決めた。日本人お得意の「お前が出すんなら、俺も出すよ。じゃあ、お前も」みたいな話をして、誰が何の作物を出すって分担しあったよ。

大野 そうだっけか。

尾藤 俺はビート担当とかね。ちょうど十勝で土壌分析が始まったばかりの頃で、農協から例えばビートで「カリ減肥」とか診断がきたんだけど、その通りやると収量も一緒に激減してしまった(笑)。そんな失敗体験から、いくら土壌分析したって施肥の考え方が根本的に間違っていたら意味がないって問題意識は強く持っていた。だからって、海外でドクターがやっているのが正しいのかって、コンサルをお願いしてみないと本当のところは分からない。実際、契約してお金は払っても、当初は大した効果がなかった。

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