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【北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信】
私がGM大豆を作りたい理由
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 第45回 2012年01月27日
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上っ面の言葉を解釈されると困るのです
「楽して大豆を作りたいからです」
本音で言ったつもりだったが、多くの聞き手の感性は私の理解を超えるものだった。
2004年に新聞においてGM(遺伝子組換え)大豆を作りたい!との記事が掲載され、多くの農業関係者から大反発されたことは何度か話をしたが、今までの、かいつまんだ内容から少し私の本音を精査できるものにしていきます。
GMをやりたい理由、冒頭の言葉に間違いはないが、反対派の牙城の一角である“元・少女時代”には間違いなく誤解を与えてしまった。
私の言う「楽」と元・少女時代の「楽」は同音異義語である。私は将来の規模拡大の準備のために排除できる作業、思想、文化は取り除き、生産のみに集中するため、と言う意味で発言した。ところが元・少女時代のほとんどは農業の現場とはかけ離れた社会に存在し、農産物を多く生産することを忌み嫌う、左翼的な思想のグループである。彼女たちは「楽」とは与えられた仕事を怠けてやろうとする怠惰な行ないをすることの「楽」と捉えたようだ。
そのような北海道に多い元・少女時代とシンパシーの波長が合うのは、現場に出ることに興味のない、ひと皮むけきっていない高学歴の理論集団か、生産物を多く作ることに興味ない生産者たちである。
何度も言うが、私があのように言うのは規模拡大して2倍の面積になっても2倍の時間働くことは無理だからだ! だが農業で生き延びるのは規模拡大しかない。増加率が1%であるか200%になるかは大きな問題ではない。少なくてもこの小さな町においても絶え間なく規模拡大の波は押し寄せて来ていて、約20年で経営規模は2倍になっている。
ましてこれから5倍、10倍の規模になった時に、今の大豆栽培技術には限界があります。今10haや20haの大豆栽培をしている生産者が既存のやり方で、今年から100haできると思いますか? それは無謀な挑戦であり、農業とギャンブルを取り違えています。
300馬力のトラクタは3000万円、560馬力のコンバインは5000万円です。でも、2倍の面積になった場合のマニュアルが存在しません。技術に蓄積が必要なことは自動車、新幹線、航空機、原発など戦後の発展を見ればわかることです。ところで生産者が集まって勉強会って存在すると思いますか? この30年間、1度もありません。確かに一部の生産者が呼ばれる「何とか協議会」は存在しますが、全員が共通の情報に触れているとは決して思いません。この技術の蓄積を数値化しなかった北海道農業の愚かさの責任を、きっと生産者は将来負うことになるでしょう。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
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