ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

施設でイチゴを作る/大石輝好さん(静岡・榛原)の場合

水分の量に敏感な施設栽培の作物

 次に今回取り上げる作物、イ千ゴの栄養生理上の留意点を考えておきましよう。

 次不作物の特徴として、イチゴは根系の範囲がわりと狭く、浅根性で、地表面から30cm以内に根が分布する作物だということをポイントとして理解しておきましよう。このことはすなわち、水分不足、乾燥、暑さの影響を大変うけやすい作物だということになります。したがって、温度管理、水の与え方にとくに注意する必衰かあります。

 イチゴの根の伸長する適温は20℃前後です。また、イチゴの時期別の水と栄養の吸収量(1株当り)のデータをしめしてみます。(表2・グラフ1)

 ここで、作物と水分ストレスということの説明をしておきましよう。人為的に作物に水を与えることを控えることを「水分ストレスを与える」といいます。

 水分ストレスを与えることは、それによって品質をコントロールしようとする栽培技術の一つですが、実際には水分ストレスを与えることで品質向上が図れる作物と、水分ストレスを与えてはいけない作物とがあります。その二つの種朋かあることを確認しておくことは、水分管理上非常に大切な点です。

●水分ストレスを与えることで品質が向上するもの=完熟させて収穫するもの(例:メロン、ミカン、加工用トマト、稲……)
●水分ストレスを与えてはならないもの=未熟なまま収穫するもの(例:キュウリ、セロリ、サトイモ、ショウガ、茶……)

 イチゴも未熟なまま収穫する、したがって水分ストレスを与えないことをコツとする作物に入ります。むしろ、開花以降、果宙か肥大する時期に水翁か不足すると、大きな影響が出ます。


重妥なポイントは土だけではない

 これからの施設栽培の濯水施肥体系は、もはや従来型の濯水量、施肥量をカウントしない (できない)やり方であるべきではありません。水耕やロックウール耕で行なう溶液管理供給システムを点滴チユトブと組み合わせ、土耕栽培にも導入するというものであるべきです。これがそれぞれのノウハウの長所を最も有効に生かし、施設栽培を行なう上で理に適った方法として定震すべきなのです。

 土壌の能力は、いかに土づくりをしたとしても、施設栽項への対応には、その能力の範囲を超えたものがあります。

 また肥料も、有機肥料やコーティング肥料といっても、その溶出する無機成分を正確に把握し、厳密にコントロールできなくては、施設栽塙では意味がありません。これり従釆型の肥料では、そのコントロールが不可能なのだということをいま一度確認してください。

 これらのことから、液肥体系による新しい土耕システム“養液土耕”の普及を提唱します。

関連記事

powered by weblio