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【岡本信一の科学する農業】
収量向上は必ずしも妥当な目標か
- (有)アグゼス 代表取締役社長 岡本信一
- 第4回 2012年03月06日
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具体的にどのように自分の畑の収量調査を行なったら良いのかを少し書いてみましょう。一般的な収量調査のように小さい面積を徹底的に調べます。そんなに大きな面積である必要はありません。収量調査でよく行なわれるような坪刈り(一坪の調査)で十分です。区画内のすべての収穫物について、一つ一つの重量を測定します。特に出荷できない不良品の数、その理由をチェックすると良いでしょう。
同時に前回述べました株の間隔(株間)というのはかなり重要な測定項目です。さらに収量と最も関係性の高い土壌の物理性を測定するのも一つの手です。一般には普及していませんが、私が使用しているのは貫入式土壌硬度計という測定機器です。一つの畑で3カ所程度サンプルを採ればかなり正確になりますが、調査は皆さんの時間の都合に合わせて行なってください。
収量調査を行なって、数字で畑を把握する
単独の農場だけではなく、周辺の農業経営者を巻き込んでデータを増やした方がよいですね。というのは、同じ経営者の畑は同じ傾向になりやすく、比較することができません。単純に収量調査をするだけでは面白くないと思いますので、使用する何らかの資材や、栽培方法を変えて比較してみると差は明確になります。
どのような不良品が最も多いのか? ほ場ごとの違いはどうなっているのか? 大きさのばらつきはどのくらいあるのか? 土壌分析の結果(化学性)と収量の関係は? そして収量(出荷量)の違いは何によるのか?
これらをデータ化することで、自分の畑で起きている最大の問題が見つかり、どのような栽培管理をすべきなのかが徐々に分かってくると思います。また、数字として利用するためには、高度な解析が必要になりますが、データさえ残っていれば、将来解析を行なうことも可能です。
不良品を発生させる一番大きな問題に取り組めば、不良率は改善し、出荷量は増えるということになります。こういった方法が数値管理の第一歩なのです。くり返しになりますが、数値管理というと数字でコントロールすることをイメージする方が多いようですが、その前に数字で自分の畑がどうなっているのかという実情を知ることが最大のポイントです。問題が分かれば、その解決方法はいくらでもあるのです。
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岡本信一 オカモトシンイチ
(有)アグゼス
代表取締役社長
1961年生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業後、埼玉県、 北海道の農家にて農業研修。派米農業研修生として2年間アメ リカにて農業研修。種苗メーカー勤務後、1995年 農業コンサ ルタントとして独立。 1998年(有)アグセス設立代表取締役。農業 法人、農業関連メーカー、農産物流通企業、商社などの農業生 産のコンサルタントを国内外で行っている。講習会、研修会、現地 生産指導などは多数。無駄を省いたコスト削減を行ないつつ、効率の良い農業生産を目指している。 Blog:「あなたも農業コンサルタントになれる」 http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/
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