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【イベントレポート】
オランダ大使館主催ワークショップ 園芸産業のオランダ型 統合的アプローチ ~東北の農業復興におけるオランダの貢献~
- 編集部
- 2012年03月06日
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登壇したプレゼンターは、ワーヘニンゲン大学研究センター施設園芸部門のシルケ・ヘミング氏、ワーヘニンゲン大学研究センターアルテラ環境研究所のヴィム・ファン・ドリール氏、オランダ政府の土地・水管理行政サービスのケース・ファン・デル・ファールト氏の3人。ワークショップのモデレータは、大泉一貫氏(宮城大学副学長兼事業構想学部長)が務めた。
1.持続可能な施設園芸生産
初めのプレゼンター、シルケ・ヘミング氏の講演テーマは、オランダが取り組む施設園芸生産(環境負荷が低く、省力・省エネ・高生産性を実現する生産方法)についてである。施設栽培におけるメリットの中で強調されたのは、生産性の増大、生産物の品質向上、予測可能性の獲得の3つだった。特にトマトについては、露地栽培と簡易的な施設栽培、システムによって完全に管理された施設栽培のそれぞれの収量を比較したグラフを提示し、成熟するまでに必要な水分の量など、環境に負荷をかけずに生産できる施設栽培の有効性を説いた。
そして、温室設計のための基本要素として挙げられたのは次の11項目である。
(1)生産作物の選定
(2)温室の設計(簡易なトンネル、マルチスパン型トンネル、ガラス温室など)
(3)被覆材の選定(拡散ガラス、プラスチック板、ビニール)
(4)シェードとスクリーン(水漆喰の散布、遮光スクリーン、エネルギー発生用スクリーン)
(5)冷却システム(自然換気、噴霧、強制冷却、パッド換気扇)
(6)二酸化炭素の供給(液体二酸化炭素、自然換気、天然ガスの発電の副産物)
(7)エネルギー源と供給(地熱エネルギー、風力、バイオマス、太陽光、石油、ディーゼル)
(8)暖房システム(ヒートポンプ、コジェネレーションエンジン、エアーヒーター、ボイラー)
(9)生産システムと培地(土壌培地、溶液、培土)
(10)水と栄養分の供給(再循環システム、点滴かんがい、スプリンクラー)
(11)病害虫の管理(益虫、農薬、生物的防除)
「適応型温室設計」に象徴されるように近年のオランダでは、持続可能な農業を目指している。数年前までは栽培における適切な管理数値があり、それに合わせて栽培することがベストとされていた。しかし近年になって、適切な数字管理は収量を最大化しても利益の最大化にはつながらないという認識が定着してきているようだ。例えば、気候条件の異なる場所では適切な数字に頼った栽培管理にはかえって余計なコストがかかり、収量が増加しても支出が膨れて、結果的には利益の最大化に結びつかないという。
温室栽培を始める前に必要となる、消費者の購入価格に基づく栽培作物の選定や利用できるエネルギー資源のコスト、調達資材のコストなどの条件を明確化することが重要で、持続可能な温室栽培を可能にすると説明した。
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