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“被曝農業時代”を生きぬく

福島米で規制値超え 放射性セシウム汚染の要因と対策をどう考える?



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森林の生態系での放射性セシウム

 山地の水が水田に流れ込んでいる可能性が高いが、森林では放射性セシウムはどういう形をしているのだろうか。ここでは、森林生態系における放射性物質の動態についてまとめる。

 大気中の汚染物質は、粒子としてあるいは雨水と共に森林の樹木のてっぺんの部分の樹冠でとらえられる。樹冠は、表面積が大きいので大気中の汚染物質を取り込む性質をもつ。樹冠に入ってきた放射性物質は、雨などで洗い落とされ、あるいは落ち葉や落ち枝と共に森林の地表面(林床)に移行する。林床では、落ち葉や枝の分解が進み、雨水などを通じて分解した成分が土へ流出する。放射性セシウムも土の表面から徐々に流れ込み、最終的には土壌の腐植層に保持される。

 森林では、栄養塩のサイクルにともなって放射性セシウムも循環する。土壌の表層の放射性セシウムは植物の根から吸収されて葉へ移行し、これが再び溶け出し、枝や葉と共に林床に戻るという循環だ。この循環の中では、放射性セシウムは植物にとって利用されやすい形をしている。そのため、森林のキノコや植物には、比較的高い濃度の放射性セシウムが含まれる。また、森林に降り積もった放射性セシウムの約80%は深さ5cmまでの土壌の表層にあるという。なお、残りの約20%は、より深い土壌や樹木などの植物に存在する。樹木中のカリウムは、若い葉や樹木の幹の形成層など生物の活動が活発な部分に集まることが知られている。放射性セシウムも同じ様な傾向で、チェルノブイリ事故によって汚染されたマツでは、若い葉や、樹幹の形成層付近で濃度が高いことが確認された。

 関東森林管理局などが7月に福島県の森林(山林)の放射性セシウムを調査した結果では、福島市、伊達市、月舘市、相馬市などで1時間当たり1.0~9.5マイクロSvの高い空間線量率が測定された。まだ、空間線量率と森林汚染の関係についての詳しい結果は出ていないが、森林総合研究所が福島県大玉村で行なった調査では、樹木に森林全体の51%の量の放射性セシウムが分布しており、林床の落ち葉に全体の33%、表土に17%が存在していた。


粘土質が少ない土壌だった

 前号でも述べたとおり、土壌中の放射性セシウムの動態は土壌の性質に大きく影響される。粘土の多い土壌では、放射性セシウムが粘土に吸着されるので、動きにくく根からも吸収されにくい。一方、粘土の少ない土壌では、放射性セシウムの固定が少なく、吸収されやすい。

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