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【フーテン人生の無邪気な視点】
「常識でしょ」の違い
- マック木下
- 第8回 2012年03月06日
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在外生活していると常識を覆されることはしばしばである。例えば、携帯電話の使い方。欧州では電車内でも、バスの中でも人々は大声で話す。ケンカなどのトラブルが起こるのに、その前の段階で注意する人さえ皆無。マナー喚起する広報広告は張り出されていても、法律で禁じられていないし、罰則規定がない。おまけに昨今はアフリカや中東からの移住者が増加し、共有すべきマナーが不明瞭になっている。一方、日本ではマナー違反に対する白眼視程度の制裁は受けることはあっても、罰則規定がないにも関わらず、公共交通機関の中では携帯電話の使用制限がマナーのレベルで守られている。
こんなことを書くと、欧州はどこも法治国家だから国民も割り切っているのだと考える人もいるだろう。しかし、法ってのは、道徳、マナーに追従する底辺の規範だし、法に対する意識や遵守の仕方には国によって大きな差がある。隣国間でも常識が異なるのである。
「イギリスにあっては、特に禁じられていないことはすべて許される。ドイツでは特に許されていること以外はすべて禁じられている。フランスでは特に禁じられていることでもすべて許される。欧州経済共同体(EEC)では何が許されるのかは誰も判らないし、いずれにせよ多くの費用が掛かるだろう」
これは1972年に高等法院の副大法官が残した名言である。EUの前身EECに英国が加入する段階で、この発言が注目されるほど、英国内の議論は紛糾していた。貿易や人材流出入の自由化に関わる、当時の統一化の困難な経過が読み取れる。自国に居ながらにして、外国の価値観が押し寄せてくる、あるいは新しい規範を押し付けられそうな不安感が代弁されている。
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マック木下
ゼネコン、商社、航空旅行業、世界的弱電企業などの国際畑で育ち過ぎた50代。1980年代から主に英国に住み、英人が本名をちゃんと発音できなかったので、いつしかマックに。ジャンルには無節操なライターで、執筆歴は10年間ほど。専門は日英関係史とロンドンの歴史散歩。寄稿先は『英国特集』『R.S.V.P.』『Quality Britain』『Taste of Britain』『未来教室』『ぼんじゅーるレマン』のほかミニコミや会員誌など。
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