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日本でもさらに外国人移住者が増えると、先住者には同じ不安が湧いてくる可能性がある。今でも日本の文科省指導下の教育とは異なる教育を受けた日本人成人者も少なくない。外見が黄色人種でも白人みたいに振る舞うものだから、彼ら彼女たちをバナナと揶揄する時代もあったが、長年在外生活している筆者も似たようなものかもしれない。
いずれにせよ、その不安の解決は明瞭である。それは快適な秩序を守るために、いろいろな常識や価値観をカバーするルールを皆で作り替えつつ、同意を得ることだ。おまけに、個人レベルでは、周囲の肌色が異なれば、常識も慣習もその肌色の人々に合わせなければ孤立してしまう。孤立するのは容易だが、孤立して生きていくことは不可能に近い。周囲の「常識でしょ」に合わせて行かないと、生活にも仕事にもならないのである。
一般的に「常識」と言うと、英語でCommon Senseだが、直訳すると「共通の認識」である。しかし、日本語の常識には「是か非か」という強制的な意識が含まれているので意味が少し違う。この点で、常識=コモンセンスとは一概に訳せない理由がある。英語には「たくさんの常識がある」という表現もある。日本語にすると何のこっちゃである。でも、在外生活で各国の常識に触れたら、確かに「たくさんの常識」を経験する。そうなると、今後は日本語の「常識」も意味を変えるかもしれない。
先の引用文「イギリスにあっては、特に禁じられていないことはすべて許される」とは、英国が慣習法の国であり、前例や常識の範囲で判断しようということだ。自らを追い詰めず、出来るだけフレキシブルに、自由に、そして中庸にという点もまた、英国式な大人の常識なのだろう。
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マック木下
ゼネコン、商社、航空旅行業、世界的弱電企業などの国際畑で育ち過ぎた50代。1980年代から主に英国に住み、英人が本名をちゃんと発音できなかったので、いつしかマックに。ジャンルには無節操なライターで、執筆歴は10年間ほど。専門は日英関係史とロンドンの歴史散歩。寄稿先は『英国特集』『R.S.V.P.』『Quality Britain』『Taste of Britain』『未来教室』『ぼんじゅーるレマン』のほかミニコミや会員誌など。
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