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岡本信一の科学する農業

「地力」は生産能力の科学的根拠にあらず

農業に携わる人であれば誰でもご存知の通り、作物の出来不出来は土に依存しています。同じように栽培管理をしても、「出来不出来ができてしまう」、「いつも取れない畑は決まっている」という事実からも明らかでしょう。これらは、いったい土壌の何に依存しているのでしょうか?
農業に携わる人であれば誰でもご存知の通り、作物の出来不出来は土に依存しています。同じように栽培管理をしても、「出来不出来ができてしまう」、「いつも取れない畑は決まっている」という事実からも明らかでしょう。これらは、いったい土壌の何に依存しているのでしょうか?

科学的に説明できない「地力」という言葉

 おそらく多くの方から「地力」という言葉が、返ってくると思います。それでは、地力を科学的に説明してください、と質問すると、今度は答えに困ってしまうのではないでしょうか。

 実は、地力がどのように定義され、作物の生育にどのように作用し、収量との間にどのような関連があるのかについては、大抵、科学的な説明がなされていないのです。

 一般的に土壌の性質は、物理性(硬さ、排水性、保水力、通気性など)、化学性(養分などの含有量、保持能力など)、生物性(微生物の数など)の3つの要素から説明されます。しかし、土壌の性質から、地力があるのかないのか、どの程度の収量が期待できるのかに直接、言及することはできません。

 土壌をもっと細かく調べて、多くの項目の分析を行なえば地力を科学的に説明できるかというと、地力自体が何であるかが定まっていない現状では、「諸説紛々の域」を出られないでしょう。

 栽培に携わる人は、体験的に土が違えば生産能力も違うということを知っていて、地力という言葉で説明しようとします。ところが、地力というのは、曖昧で具体性を欠いているため、科学的な概念ではありません。実際には気づいていないかもしれませんが、それだけでは土壌の生産能力の違いを科学的に説明できていないのです。収量や作物の出来栄えなどを説明するためには、地力を具体的に定義し、科学的な因果関係として定量的に記述することが必要になります。

 では、地力が科学的ではないとすると、「土壌分析の結果も科学的ではないのか」ということになりますが、分析そのものは科学的に行なわれています。分析結果は土壌の状態だけを科学的に明示していますが、その土壌からどのくらい収穫できるのかを説明する科学的根拠にはなり得ていません。

 分かりやすく説明しましょう。土壌分析の項目に、土壌pHという基本的な化学指標があります。作物毎に最適な値の範囲がありますので、植え付け前に石灰などの資材を投入して矯正するためには重要な判断基準になります。ところが、pHを矯正したからといって、具体的に作物がどのくらいとれるようになるのかは分かりません。

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