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編集長インタビュー

「日本農業の底力」はノウハウの“融合産業化”で必ず開花する



大泉 はい。世界的に主流であるインディカ米は、飢餓からの解放を目指して作られたもので、粉にする前提のコメであって、コメの本当の美味しさは炊飯したジャポニカ米にあるんですよ。難しいことは重々承知ですが、世界の人達がジャポニカ米にもっと目を向ければ、世界市場がジャポニカ米を中心に形成される可能性だってありますから。

昆 おっしゃる話は進んでるんですよ。コメの世界生産量に占めるジャポニカ米の生産量は上がっていて、とりわけ中国はジャポニカ米に変わってきています。生産者はちゃんとした作り方をして、コストダウンすれば輸出マーケットが広がるわけで、“鎖国した日本”の枠組みで考えてはいけない。『日本農業の底力』では、成長産業になるには強い農業のビジネスモデルを世界に求めろと主張してますが、日本農業が目指すべき方向性の国とは?

世界農業の3つのタイプ日本は成熟国型

大泉 世界には多様な農業が存在しており、大きく分けて2つのグループに分かれます。ひとつは人口の多さに比例して農業産出額が高い国。中国、インド、ロシアに代表されるBRICs諸国ですね。もうひとつはフランス、イタリア、韓国、日本のように農産物過剰に悩んできた国。後者はさらに、アメリカ、オーストラリア、カナダのような新大陸の制約条件の少ない農地で「機械に頼って生産性を上げる」新大陸型農業と、ヨーロッパ小国のように制約が多いため「知恵に頼って付加価値の高い生産物を生産する」成熟国型農業がある。つまり3タイプがあり、日本は同じタイプの成熟国型農業の成功例から学ぶ必要があります。

昆 そうなると、やはりオランダでしょうね。EUという世界の中でどう生き延びたのか、日本が参考にするべきことが余りある。

大泉 そうですね。オランダのすごさというのは、世界の農業条件にどう適応するか考えて、いろんなバリエーションをトレーニングしているところです。たとえば「暑い土地のハウスはどうなのか」とまで考慮してますから。

昆 作物の品質が高くてコストが安いだけではなく、国家としてマーケティングして園芸技術の優位を確立しようとしてるんですよね。だから農産物のマーケットとしても圧倒的優位に立っていて、EU27カ国に5億人いる中で、メインをイギリスとドイツに絞ることができるわけです。そういう考えると、いかにグローバルで戦略的な視点が日本に欠けているか、実感せざるをえません。その日本が目指すべき「付加価値の高い農業」は、どうすれば実現するんでしょうか。

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