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【フーテン人生の無邪気な視点】
英国の高級住宅街の裏側
- マック木下
- 第9回 2012年03月29日
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ベッドルーム6つで居住面積が400平方メートルの家をロンドン郊外に買ったという英国人の友人に、招かれて行ってみると、前庭も裏庭もトピオリ(生け垣彫刻)を施した相当なものだった。玄関先から周囲の家を見回すと、どこも似たような造りの新興住宅地である。庭が広いので、隣家との玄関の距離は50mほどであろうか。日本でいえば麻布のお屋敷か芦屋の六麓荘町くらいしか思い浮かばないが、英国ではこのような新興高級住宅街が点在している。
その庭先で車から荷物を下ろしていると、隣人から友人に声がかかった。その人物はインド系英国人であった。さらにその隣の家の前ではインド系の子供たちが遊んでおり、表庭ではインド系老人が庭仕事をしている。友人宅の前を通る私道部分にメルセデス・ベンツが進入してくると、にこやかに挨拶する車内の人々は皆インド系であった。英国のこのな住宅街のほとんどがインド系人種で占められている。
彼らの謙虚な様子を見て直感したのは、1980年代に見かけたインド人の清掃人や人夫の姿。例えば、ロンドンの空港のトイレに行くと、一生懸命に掃除しているのは大抵インド人で、彼らの物腰の柔らかさが印象的だったことを思い出した。
彼らは英国連邦内インドから英国に移民してきた人たちである。言葉もイマイチで、インド本国ほどの仕事に就けなかったにもかかわらず、何やら生き生きしていた。
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マック木下
ゼネコン、商社、航空旅行業、世界的弱電企業などの国際畑で育ち過ぎた50代。1980年代から主に英国に住み、英人が本名をちゃんと発音できなかったので、いつしかマックに。ジャンルには無節操なライターで、執筆歴は10年間ほど。専門は日英関係史とロンドンの歴史散歩。寄稿先は『英国特集』『R.S.V.P.』『Quality Britain』『Taste of Britain』『未来教室』『ぼんじゅーるレマン』のほかミニコミや会員誌など。
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