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編集長インタビュー

オランダ型コンサルを国内実践し、温帯モンスーン地帯に広めていく



昆 研修の費用はどうなっているんですか。

石黒 研修費を働いた分で返してもらうようにして、参加者には多少のお金が残るようになっています。

昆 私は新規就農に行政が年150万円ものお金を出すのはバカバカしいと思ってるんです。だって覚悟がある人だったらハングリー精神でやるはずなんだから、甘やかす必要はないと。ただしもっと系統的に学ぶためには、それだけの教育資本や教師の人材に対する投資が必要になる。体験する場の人材も育てなければいけませんし。

石黒 確かに大学の農学部や、それこそ国や県の農業大学校の反省をもとに、農業経営者を育てるような場は絶対に必要だと思いますね。個人的に農業経営全般を学べる大学を作れないものか夢見たことがあったのですが、実現させるのは難しかった。それよりも会社で研修制度を作った方が現状では有益なのでは、という結論に達しました。

昆 この前オランダに行って、人材育成に関しては悔しいけど完全に負けている状態だと感じたんですよ。それはオランダには農業専門大学がひとつしかないのに研究者、科学者、経営者、実践的な指導者とコースが分かれている。そしてそこで学んだ人たちはそれぞれ尊敬されるような立場を築いていたんです。一方、日本には農学部系が70以上の大学にあっても、税金を使って学者が学生たちを遊ばせてるだけ。そんな状況で農業を残そうとしているのは滑稽としか言いようがありません。

石黒 日本の大学では、大学院へ進学して学術研究者を目指す方は大勢いますが、農業経営へ自ら進もうという人は皆無に等しいのが現状です。大学の先生は現場から離れすぎているので、現在、国家資格で現場に役立つのは、技術士ですね。農業部門の技術士は、7項目あって、知識と7年間の経験がなければ資格を取得できません。しかし残念なことに、今は技術士が大学と公共研究機関に偏っているんですよ。わが社には、能力のある社員がたくさんいるから、3年以内に民間企業から技術士を3人くらい誕生させたい。5年後には社内に100人くらい作ることが目標です。

昆 日本という国はまだ資格を気にしますからね。

石黒 その通りです。だけど本当は資格よりも、現場での経験が一番大事なはずなんです。我が社の栽培技術課の人間を教育するには、篤農家のところに行って教えてもらうしかないと私は思っています。

昆 それはいい。篤農家は経験主義の中でやってますからね。そこで鍛えた観察力の高さと科学的知識がセットにならない限り、農業はうまくいきません。

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