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【特集】
“爪もの”から耕うんを見直す ユーザーが語る導入効果と問題点【後編】
- 編集部
- 2012年04月24日
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“爪もの”とは、いわゆるスタブルカルチやチゼルプラウなどと呼ばれる類の爪(タイン)のついた耕うん作業機のことである。北海道畑作では、10年以上前から当たり前のように使われているが、近年、水田での導入事例も増えてきた。これまでのロータリ耕一辺倒の作業体系からの脱却が徐々に広がってきている。
本来、耕うん作業の要は「反転」と「混和」、「砕土」である。細かくしすぎれば水を含んでしまうが、土塊がゴロゴロしていては播種機が動かず、発芽も望めない。どのタイミングで何を混和したら良いのか。砕土はどのくらいの大きさが適当なのか。見た目をきれいに仕上げる耕うんのやり方から、高速で面積をこなせるという利点を活かした新しい作業体系を組み立てていただきたい。
前編に引き続いて、後編ではユーザーからの声をもとに各メーカーの爪もの作業機を紹介する。どのような目的で、どのように工夫して使っているのだろうか。増収したという満足の声も、使いづらいという不満もあるようだ。試行錯誤をしながら、目指す作業体系とは……。
これから導入を検討している方にも、既に使っている方にも、使い方や前後作業の組み合わせ方についてのヒントになれば幸いである。
第2章 アイテム別に聞いた商品概要とユーザー評価
爪もの作業機を導入しているユーザーから寄せられた声は、導入効果だけでなく、改良点の指摘やそれを改善する使い方の工夫まで多岐にわたる。どのような課題にぶつかって、解決策を探ろうとしているのか、一緒にお考えいただきたい。
合わせて小型トラクタから曳ける爪もの作業機、中~大型トラクタ用の爪もの作業機の商品概要、各社問い合わせ先を併記した。
【スタブルカルチ(スガノ農機(株)製)】
粗耕起で圃場の表層を乾かし、有機物の腐植を促進するとともに硬盤上の「ネリネリ層」を削り取り、根の伸長を促進する。高速作業で時間短縮、燃料代の節約になる。
基本はプラウ作業だと語る小泉輝夫氏(千葉県)は、基本はプラウ作業だが、土が動いてしまうので、代わりに稲作のレベラー作業の前に使えるならばと購入した。土質は、粘土、火山灰土(ローム層)、砂じょう土など圃場ごとに違う。
「秋の収穫後、早めにスタブルカルチをかけて乾かし、プラウをかけると、冬場に凍って太陽に当たることにより霜が立った後にフカフカになる。『寒ざらし』と呼んでいるが、水を入れてからの春作業が楽になり、窒素成分が出てくる」と話す。
導入効果は得られているが、「同機は刃の向きが交互になっているのでフレームにワラなどが詰まりやすいのが難点。高速作業に重きを置き過ぎているので、荒い土塊が残ったり、乾いていると砕き過ぎてしまう」と問題点も指摘する。砕土性能は、ロータリに劣るが、高速作業で5~10haをまとめて作業できるため、作業体系を組み立てやすいという利点は大きい。選択肢が増えれば、状況に合わせて作業体系を修正できるので、経営の幅も広がるという。
次に、「砕土精度は落ちるが作業をシンプルにしたい」と谷島秀夫氏(茨城県桜市)は導入動機を説明する。4年前から転作畑で大豆やソバ収穫後の小麦の播種床準備のために使っている。刈取後の体系はサブソイラ(心土破砕)→ストローチョッパ(雑草・残渣処理)→スタブルカルチ(砕土)→ロータリシーダで播種するという流れだ。
実際に導入してみると、「雑草対策に弱く、残渣が残り、作業後に凸凹が残るので均平にならないなど、課題だらけ。その後、爪の後ろにタインをつけたり、カゴを小径のものに付け替えたりして、その印象は少しずつ変わってきた」という。
反省も込めて、「作業体系が確立できていない中で導入しても定着しない」と話す。規模拡大に伴って、作業体系は徐々に高速作業化を進めたいと話す一方で、能率アップと作業量の調整に頭を悩ませている。
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