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特集

“爪もの”から耕うんを見直す ユーザーが語る導入効果と問題点【後編】



■MG5(PEGOPARO社製)
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土質、作物、天候を見極めて使わないと失敗する(T氏・畑・北海道)

■スプリングハロー(型式不明・ドイツ製)
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土塊が大きくなりがちになる。作業前には残渣をチョッパなどで細かくしなければ絡むので要注意。前後の作業体系では、タマネギの移植機は表面がフカフカしていないと苗を差しても倒れてしまい、国産のドリルシーダは土塊に対して種を播くことができないので、爪もの作業機の作業体系には対応できていないのがネック。

COLUMN 経済性と環境の物差しで農業のやり方を考える

 日本では作物によらず、国産トラクタにはメーカー純正のロータリが必ずセットで用意されている。それは、爪もの作業機が普及してきた今でも変わらない。

 この「当たり前」、外国人にはどう映っているのだろうか。北海道美瑛町のコスターヒロセ・ステファン氏に聞いた。ドイツ人である彼は日本人と結婚して1995年に来日し、北海道中富良野町で新規就農。その後、98年に美瑛町に移り、野菜の有機栽培を介して喫茶店の経営や直販に取り組んでいる(本誌2003年8月号 「農業経営者ルポ」掲載)。

 彼も就農当初5年ほどはロータリのみで作業をしていた。「ロータリ作業でまっすぐに走れるかどうかというのは、オペレータにとっては一種の挑戦で、まっすぐ耕せれば作業軌跡がきれいに見えるので、気持ちいい」、この満足感は理解できると話す。だが、日本で初めて見た作業機に違和感を持っていたそうだ。

 後にドイツの農家の友人から「ロータリはドイツにもあるが、小面積では使っても、北海道の畑作のような大面積では燃料代などトラクタにかかるエネルギーがとんでもないはず」との指摘を受ける。加えて、補助金が多くて余裕があるからロータリ耕をしているのではないかという冗談も飛び出す始末だったという。

 まずは経済的に見合うかどうか。農業の作業工程を選ぶときにも、真っ先に考えた結果、スプリングハローを取り入れた。特に砕土を必要としない場合には、トラクタの馬力、作業時間などを考えても圧倒的に経済的である。

 ロータリが抱える問題は、作業機の性能ではなく、使い方だ。一番問題なのはロータリ耕が要らないところでも使っていることだと指摘する。例えば、小麦などは細かい砕土しなくても芽が出るのだから、ロータリを使わなくても問題ない。もちろん、ニンジンは土塊が残れば曲がり、ジャガイモの場合にも砕土は必要である。だが、砕土しても細かくならない圃場であれば、ジャガイモを作ることに経済的な意味がないと判断した方がいい。ましてや、耕うん作業とは作物の芽を出すために行なうのだから、きれいに仕上げることに対する満足感はお金にならない。微生物の環境や間隙などの物理性が改善するという説もあるが、まずは、経済性で考えることが大切だという。

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