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【フーテン人生の無邪気な視点】
現代人の置かれた立場
- マック木下
- 第10回 2012年04月24日
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昨年ブームを起こした名著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」は、誰もが絶賛するのであるが、へそ曲がりには突っ込みどころが見えたような気がしている。
もちろん、全体を見渡すと有効な理論だと思う。ただ、歴史を振り返ってみるに、それは違うのではないか、と考えさせられる点もあるのだ。例えば、「問題解決を図るよりも、新しい機会に着目して創造せよ」というドラッカーの言葉は、新しいビジネスチャンスを優先すべきであっても、諸問題の解決は無視、または先送りしても構わない、と読み取れる。
最近、財政破たんが起きているのは、収支管理問題が長年看過され、且つ深刻化したことと、目の前の投資と将来の利益の創造ばかりが注目され、結果的に利益が回収できず、過剰投資に終わったことの2点が大きな要因であるという説もあるくらいだから、財政界や金融界ではこの理論どおりにやって完全に裏目に出たといえる。
一方、モバイル市場ではこの理論が機能している。問題を起こしたアプリやOSについて企業に適正なサービスを要求すると、「改訂版をインストールすれば改善する」とアドバイスを受ける。つまり、本来の問題は無視され、改善もされないのに、新機種と新機能では問題が生じないというものだ。
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マック木下
ゼネコン、商社、航空旅行業、世界的弱電企業などの国際畑で育ち過ぎた50代。1980年代から主に英国に住み、英人が本名をちゃんと発音できなかったので、いつしかマックに。ジャンルには無節操なライターで、執筆歴は10年間ほど。専門は日英関係史とロンドンの歴史散歩。寄稿先は『英国特集』『R.S.V.P.』『Quality Britain』『Taste of Britain』『未来教室』『ぼんじゅーるレマン』のほかミニコミや会員誌など。
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