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人生・農業リセット再出発

老人が嫌いなもの、それは……

「払わん! だって、さっき異常なしと言ったじゃないか。病気を治療しての医療費だろ!」病院の会計口で、大声でごねている厄介な爺さんがいる。私は見かねて立ち上がった。

 「払わん! だって、さっき異常なしと言ったじゃないか。病気を治療しての医療費だろ!」

 病院の会計口で、大声でごねている厄介な爺さんがいる。私は見かねて立ち上がった。

 「毛が一本でも髪がフサフサでも床屋の料金は同じでしょ! 技術料なんですよ。診察してもらってから異常なしだと分かったんでしょ。どちらが正しいか明白じゃないですか、ねえ皆さん、そうでしょ!」

 地球2周分の距離を徒歩で測量して、正確な地図を作った伊能忠敬。彼の時代の平均年齢は44歳。現在はその倍で高齢社会である。では幸福度も2倍になっただろうか? 恥を知る美しい武士道の文化が、恥を知らないゴネ得の貧しさへ、身体よりも心の健康はその時代より不健全に廃れてきているような気がする。国際線で病人が出ると、機内放送で“お医者さんはいませんか?”とドクターコールをすることになる。ところが最近、名乗り出る人はまずいなくなった。聞くところによれば、関わったその時点から責任を訴追されることになるため、地上であろうが知らんぷりするのが最善の君子の策だとのこと。関わり合いと世話焼きの村社会から、関わり合いをできるだけ遠ざける賢明な生き方へ。時代が変わるのは構わないが、少なからず周りに迷惑をかける嫌われ者の老人にだけはならないようにしたい。

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